昔からこの地形の土地はトラブルを起こす。業者の手を経たものはトラブルが発生することは少ないと思う。相続により一般の方が引き継いだ場合は 困ると思うので書いてみた。

■発生過程

江戸時代以前からの土地は超長方形である。間口により税が定められたため、土地の形状は街道に面した部分は狭く 奥に深い土地に分けられていった。

京都もそうであるが 大都市には同じような土地が多い。これが旗竿地が発生する起点となる。

長方形の土地に家を建てる場合を考える。最初土地の持ち主である大家は敷地に多くの家を建てたい。

賃貸を考え、手前に1軒建て 同じような建物を付属建物として2軒建てたとする。

付属建物は、通常は建物の従物であると考えられるのだが、同じ建物を並べ 個別建築アパートを付属建物として建築する。

初期旗竿地の下地完成である。バブル以前によく流行った。

常は建物が売買されれば附属建物も同時に売買されることになる。

ただし 当事者で異なる合意をすることは可能なので個別に戸建てとして売買できる。

日本の不動産は登記上も権利は底地と建物は別々である。

この場合独立した権利を確保するため、2軒の通路として前面道路まで幅員2mの専用通路を設ける。

専用通路は途中が2m以下のような場合は専用通路と認められない。

なお市町村の条例で、2mを超える通路幅が必要となるケースあり注意が必要である。

もしまだ奥に残地がある場合は着きあたりまでの幅員4mの位置指定道路とすればよい。但し 侵入部に角きり 途中に車両交差用の6m部分あるいは車両転換部を作れば奥へと伸びていける。

この辺りまでが現在の法令の流れに応じた開発過程である。

■法律の制限

しかし昔は専用道路部分が取れない あるいは位置指定道路の公道の侵入部に角きりが設置出来ない場合などの際 ぎりぎりの脱法的行為が行われた。

道路境界線から20m以内に建物の代替進入口(バルコニーでも可)が設置されているなど細則がある。これは通路が20m未満で設計屋さんに相談すれば何とかしてくれる。

専用道路部分の奥行20m以上ならアウトである。

建築物の用途は、特殊建築物以外の用途であることとあるが、一般住居なら問題ない。

また3階建てを建てようとする場合は 代替進入口の位置もあるので 特に注意されたい。

おじさんい言わせると これらの場合は最初から手を出さないことだが、相続となってはどうしようもない。

Aの敷地が公道側

■脱法行為

やり方は所定の専用通路を確保できない場合 位置指定道路と出来ないなど多くの場合は脱法的に行われた。

初期建築の際は2軒BとCのための通路部分があるので問題なく建築出来る。

後年 Cの土地に 4軒目Dを建てるにあたり 2軒目Bで使った通路を変更し、Cのための通路として届け出る。

この際 2軒目Bの所有者の通行と3軒目Cと4軒目Dの通路の使用承認などを金銭収受により、2軒目Bと3軒目C間の同意を取り付けたとして、分筆するなど書類上通す。

これによって2軒目Bは通路がなく、再建築不可となる。

図が説明不足なので記載するが 「Aの側が公道である」

これらは昭和末期頃に建築主事にて発生は止められたが、その前の事案は「?」である。

残っているのは間違いない。おじさんの知ってる範囲でも数か所以上ある。

関わったご本人はご高齢でもあり、我が家の再建築時には権利が返って来るなどノー天気である。

また建築時は 位置指定道路のために「角きり」が設けられていたが 「角きり」が廃止されている場合などがある。

どうも初期は隣地地権者より借りて作ったらしいが・・・なくなっていた。これも現行 位置指定道路と認められず B,C,Dすべて違法建築となる。

■相続

現在では再建築について 再建築不可の場合は重要事項説明等に記載するのが原則である。

従って業者から出て来る物件はある程度のチェックは出来ている。

旗竿地は、道路に面して窓が取れないため、居室への採光がとりづらいなどある。現在はトップライトにて改善も出来る。入口通路幅が3m以上なら駐車スペースと通路と併用でき効率的である。

場合によっては 居宅を建てるのに 安くいいものもあるかと思う。

厄介なのは相続などにより取得する場合となる。

従って実家が 上にあげた旗竿地ような区割りの場合、事前に調べ 対応策を練ることです。

二束三文の再建築不可物件を押し付けられ、相続,固定資産税だけ取られるような事態は回避したい。

問題となる可能性は 上図のA以外の土地を相続される方になります。

法務局にて公図と登記事項を取得&確認し、敷地と通路そして道路に関して 違法性の有無を判断することです。

事前に知っていれば 隣地を購入しての通路確保など対策も取れます。

投稿者

おじさん

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