本日は ばあ様がデイサービスに行く日である。従ってパッパ・パッパと色々なことを片づけていく。昨日奥さんの使っている包丁を研いだ余波で、ばあ様の包丁研ぎもしないといけない。

先日 ばあ様が包丁を流しに擦り付けているを見て、何をしてるの?と聞いたら包丁が切れないとのことであった。TVで何かやっていたのかな?・・脂取りスチール棒と同じか?

最近の包丁はステンレスなので、研ぐと言っても 研いで尖らすつまり刃を作るだけである。ステンレスは生産時刃を付けた後に高周波での熱処理が行われるので、普通に研いでもすぐ切れなくなる。分かっているので研いでも無駄と言っているが、奥さん・ばあ様 両者とも言うことを聞かない。研げ・研げとうるさい。

正直言って両者とも「押切」一辺倒で・・刃物の切れ味は早く落ちる。上から押し切るのではなく、押しながら引くか・押しながら送るかすれば良いのにと思う。そうすれば 切れ味の落ち方が違う・・なんて突っ込んで行けば、被害を受ける恐れがあるので・・黙っている。

砥石はもちろん人造砥石である。自らの腕と包丁の材質を考えれば、天然砥石など使うに値しない。ホームセンターで荒砥石と仕上げ砥石が表裏に貼られている、安価な製品で十分である。人造砥石ゆえ それなりの浸水時間20分も確保してやれば、研ぎ始めることが出来る。天然なら数時間漬けて浸水しないといけない。

ばあ様の包丁も刃がところどころ欠けている。堅いものも一気に力任せあるいはコネて切るための「刃こぼれ」と思う。研ぐ前に刃の部分の欠けをなくする様に、コンクリート床に刃を当てて削り直線に戻す。要は刃を潰して欠けた部分をなくして、シルエットを滑らかにすることである。

これからが包丁研ぎとなる。刃こぼれを除くのが準備である。

ピカピカなのに切れないステンレス包丁

幾らか背中側(刃の反対)を浮かせながら往復させ、両面を同じ様にテーパーを付けるつもりで研ぐ。ステンレス自体が固いし錆などないので、指先の感覚で確認する。両刃の形が整えば、片面を再度が幾らか背中側を浮かせながら往復させる。反対側の刃先を指先で触れば、刃に「返し」が出来た部分が判る。そうなれば包丁の「返し」の出来た面側を 一方方向にのみ砥石にあてながら「返し」を取れば良い。

もちろん ステンレス包丁は両刃のため、浮かせる角度は一定に保つように努めるのは基本である。

繰り返す目安は、新聞紙を片手に持って包丁を当てて 辺の一方から切って確認する。

ステンレス以外の包丁なら研いだ後「爪に傷をつける」「髪に押し当てる」などする。鋼(はがね)自体がステンレスより柔らかいので使える方法である。

硬さが増したステンレス包丁は片手に持った新聞紙の一辺から引きながら下ろす。その際 新聞紙がシャーと切れる程度で・・家庭では十分使用に耐える。一心不乱に研いでもそれなりの結果、つまり短期間での切れ味激落ちが見えている。諸兄にも手抜きをお勧めすると同時に、奥さんから数度言われたら研ぐことをお勧めする。

昔ながらの包丁研ぎは一般家庭では無駄のように思う。どうしてもステンレス包丁を大事に長く使いたければ、メーカーに送り研いだ後 熱処理をしてもらうしかない。或いは料理人の如く鍛造包丁を使い、毎日研いで使うしかないと思っている。これは一般家庭では無理なことと諦めている。

勿論 求道者の如く包丁研ぎを極めようとしている方には・・おじさんの意見など 無視して頂きたい。そこからは個人の自由と言うか、信条・信念と思っています。

高価な包丁のステンレス素材は高炭素ステンレスが使われます。材料にコバルト・モリブデンなどが添加され、長期に切れ味を保てるように設計されています。買われる際はチェックしてください。値段だけとは限りません。しかし いい包丁と言えども素人が安易に研げば・・切れ味は即短命となります。研いだ後の1000℃を超える熱処理が出来ないので当然です。

現在は昔と包丁素材・材質自体が違うことをご理解いただき、上手く奥さんに対応されたい。切れ味が悪いと言われたら・・俺下手だから?と言いながら 同じことの繰り返しが楽です。切れないときの言い訳に使っていただいて結構です。鉄あるい冶金(やきん)の専門家に聞けば、同じようなことを聞くと思います。専門的にはマルテンサイト変態・・など説明されますので関心があればご研究ください。

以上 おじさんが先達としての申し送りです。まあ・・・素人である亭主は

適当が一番

投稿者

おじさん

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