昨日の散歩中 菓子屋の入り口に「草餅」「桜餅」と書かれた張り紙があった。草餅3個買ってもワンコインだろうと思い立ち寄った。ところが店内にあったのは桜餅が3個入パックが1つ、草餅の2個入りパックが1つであったので、桜餅にした。桜餅では少し季節が早すぎと思いつつ買って帰った。

夕食後デザートとして出すと・・奥さん・ばあ様には スーッと手を伸ばし、ぱっくりである。いつもながらの健啖家ぶり、今しばらくご両者とも元気で過ごすと思われる。

良く思うのだが こんな時は季節が早いだのと言わない。ばあ様などは茶会の席では季節の先取りなどとまで言っていた。日本人 昔から初物には弱い。

初ガツオ

初物を食べる際の なんとない幸福感、あるいは久々に目の前に出て来る珍しさ、そして食べると長生きできるといわれる縁起良さが初物にはある。

旬との違いや初物にまつわる話は多い。初物を辞書で引いてみると広辞苑には

①その季節に初めて出来た穀物、野菜、果物など。

②その年に初めて食べるもの。

③まだ誰も手を付けていない物とあります。

でも最近は初ガツオと言っても鮮魚コーナーに「叩きの冷凍解凍もの」が多いので、どこが初物との感がある。季節のない時代に生まれたことを悲しむしかない。

冬はブリあるいはハマチがおいしい季節である。クロダイ、タチウオなども幾分アブラが乗り,においもおさまるのでよい。これが2か月もすれば産卵その他で味が落ちる。海の中は地上と違い植物にとっては冬が盛りである。わかめなど生の海藻類が鮮魚コーナーに出されているのを見れば、わかるというものである。

旬のすぐ直前に食べるプチ贅沢さを改めて良いと思う。

野菜

野菜は初物よりも旬(しゅん)を大切にしたい。近年は温室などで周年栽培されることも多く旬が分らない。またイチゴの様に市場に合わせて品種改良を行い、温室栽培技術の改良などにて初夏から冬に旬をずらせたものまである。

多くの野菜では 旬の時期と旬でない時期の栄養が著しく異なることが多い。ほうれん草では旬の冬取れは、夏のほうれん草の3倍ビタミンCを含有する。他の野菜も約2倍と言われる。

今我々が食べている野菜は、外見は同じでも一昔前の野菜とは異なる。以前にも書いたが収穫時期を一括出来るように、一代雑種F1のタネを使う。従って在来種とは いささか栄養が異なる。また化学肥料などにより土のミネラルバランスに変化があり、40年前と比べるとホウレン草に含まれるカルシウムは1/2、ビタミンは1/3、大根に至ってはカルシウム・ビタミンとも1/8にまで減っていると言われる。

化学肥料に多く含まれる窒素やリン酸、カリは過剰摂取になる反面、微量なミネラルは欠乏する状態です。最終的には我々が摂取する際の栄養バランスの乱れになります。

年間を通して野菜や果物が販売店の店頭に並べられ、季節感が失われるようにもなってしまいました。それ故 旬を知り、旬の時期に摂取することが特に大切となります。

「旬」というのは、単にその時期に多く採れ、安く流通するだけではなく、すべての食物は旬の時に最も生命活動が盛んになるため、多くのものは味も良くなり、栄養価も格段に上がります。最近は野菜や果物などは温室栽培・南アジアからの輸入 あるいは季節が逆である南半球からの輸入になど、従来の季節にはないものが一年中食べることが出来ます。購入する際はそういう点も考える必要が出てきます。

豊かな時代であるからこそ、食卓の都合で自然を合わせるのではなく、自然の都合に食卓を合わせることが大切と思います。

投稿者

おじさん

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