日本製鉄とUSスチールの合併について、色々なことが書かれているが高炉が欲しいのか?と言う意見が書かれていた。平炉・転炉・高周波誘導炉などの設備を設けてもある程度の製造は出来るが・・将来の環境問題と排出既得権そして取り出す銑鉄などの性状管理を考えた場合、やはり高炉(溶鉱炉)からスタートとするのが良い。どのレベルの製品を出荷するのかと計画すれば考えかたも決まって来る。新規に建設するには負担が大き過ぎる。
韓国にある現代製鉄と言う会社がある。初期は高炉をもたぬメーカーであったが、一貫供給することを目標にかかげ2006年に高炉の建設を開始した。2010年に忠清南道の唐津市にて第一高炉と第二高炉を完成させ、2013年9月に第三高炉を完成させた。今では日本からの技術導入もあり 車両用鋼板まで作っている。
中国の特徴は中級品の大量生産があげられる。先日も少し書いたが高速鉄道用の車輪は調質・熱処理・鍛造などから作られるので、最初から計画して開始しないといけない。そして 半ば経験によることが多い。正直中国の技術では速度150km/H以下のものしか作れない。そういう訳で日本が車輪の輸出を止めたので、高速鉄道の振動がYouTubeなどで取り上げられ出した。
おじさんが船舶の設計をしていた頃、中国製鋼板にラミネーションと言う薄い不純物層が超音波検査で発見され問題になった。極端に言えば ラミネーションの両側に継ぎ手を付けて引っ張ったところ表裏で2つに分かれる。技術検討の結果 上甲板に使う分には問題があるが、バルク船などの船体の大半は大丈夫となった。コンテナ船・LNG船などの上甲板はハイテンションの厚板で構成されるので・・おじさんの知る限りは 中国製鋼板は使用されていない。最近は良くなったのかな?原価から・・どうでも良いところは中華鉄板と思っている。
世界貿易センタービルの屑鉄ハイテンが中国オリンピックの北京国家体育場(鳥の巣スタジアム)建設に使用されたのは知る人は知る話である。元が良い屑鉄を使わなければ・・良いものは生まれてこない。東京タワーだって朝鮮戦争時の壊れた戦車が溶かされ形鋼が作られている。
色々この歳まで散見して来たので・・日本製鉄の方針は理解できるし、技術上妥当と思う。そのことでアメリカにも 本当の意味で鉄鋼産業が残ることが出来ると信じている。そしてこのことは 明日の日本の重工長大産業をいかにしていくかの参考となると思っている。国内にある重化学工業等の産業(鉄鋼業・セメント・非鉄金属・造船・化学工業と、これに関連する装置産業)をどう後世に伝えていくか?いかないのか?
経済変化
アメリカの次に来るのは日本である。