弾丸を弾倉からすくい取り、銃身に差し込んで閉鎖し雷管を叩き弾丸を発射する。発射後薬莢を抜き出し、銃外に排出。再度 弾丸を弾倉からすくい取り同じ動作を繰り返す。(下の方にイメージ写真を貼付しますのでご縦覧ください。)

この働きをする遊底であり、これが動くのが機関部と言われ、ここに引き金から安全装置などを内蔵する。64式小銃はこの機関部は削り出し品であり、89式小銃はプレス板金製である。この違いは遊底の閉鎖方式から生じている。

64式小銃は閉鎖箇所は遊底を下側に「落とし込み」閉鎖していた。従って発射火薬点火後 遊底の受ける力を落とし込んだ後部では バネと引っ掛かりで受け止めていた。従って機関部ケースに十分な強度を要求した。

一方89式小銃(原型AR16)の機関部はプレス板金であった。M16(原型AR15)からであるが遊底の閉鎖方式(発射火薬点火後の後部に影響がない様にがっちり受け止める)の遊底部品が回転式に変わり機関部のケースに直接的な荷重が掛からなくなった。従ってプレス板金にて問題とならない。これにより自由な外観形成と重量軽減が出来た。銃弾の火薬量が少なくなり受ける力も小さくなった。

5.56mm弾丸の採用は プレス板金による小銃の軽量化と同時に携行銃弾の軽量化そして発射による反動などの減少に伴い銃床の材質変更・軽量化など多くの範囲で変革をもたらした。

プレス板金

1980年代 日本では精密鋳造が多く使われ表面を加工し精度を出していた。例えばディーゼルエンジンのタペットと言われるエンジン気筒のバルブの開閉動作部分など、日本製では鋳物、アメリカのキャタピラー社などでは既にプレス板金品などが使われていた。当時は製造技術の変革時期でもあった。

なお当時の豊和工業はプレス用金型製造なども行っており、恒温室を備える等 開発能力が備わっていたと思いだす。

64式小銃とM16などは基本設計の時代と弾丸が異なった。その為 ネットで散見される「後付けのクレーム」など おじさんから見ればいい風景ではない。後からなら何とでも云えると思ってしまう。

遊底の閉鎖方式

銃の場合 銃口を出る銃弾の速度はマッハ1強であり発射後は衝撃波の影響で抗力が増し急激に速度が低下していく。小銃の場合 銃身長は0.4m前後であり、0.4m÷350m=(弾丸の銃身通過時間)となるので、発射後の薬莢の排出装填などから連続発射出来る弾丸数は 殆んどの小銃は850発/分程度となる。

ここで弾倉を銃床直前に持ってくる小銃もあるが、これは銃身長の長さを利用して弾丸速度を上げたいのが主である。正直5.56mm弾丸は貫通力と言う点では疑問が残る。小口径銃弾への解答の一つと思う。

閉鎖方式は火薬量により定まる。拳銃など小口径ではブローバック方式が多い。基本的には薬莢が後退して発生する押す力を重量で抑え込むシンプルブローバック方式から、後退速度を遅延させるためにリンク構造などで遅らすディレードブローバック方式などがある。

小銃では戦前は単発でボルトアクションが主流であった。火薬量の多い小銃弾では閉鎖する力を抑え込むのにブローバック方式は使えなかった。現在の主流はガス作動式の変形である。ドイツのローラーロックなどもあるが変則的である。まとめていておじさんの能力不足と作図の面倒との感があり、当時頂いた青焼き(昔のコピー)の写真を貼付する。

40年以上前の資料よく保存していたものと思う

主要部のみ抜粋させていただきました。お好きであれば 内容はご理解できるかと思います。