昨日 中国国産旅客機C919が就航とのニュースを見ながら、三菱のリージョナルジェット中止と比べてしまった。そして日本の国家戦略のないことを残念に思った。
中国のC919は中国国内で使用するのが原則なのでアメリカの「型式証明」は必要ない。この型式証明が旅客機に必要であり、軍用機には必要ない。仕事を繋ぐために・・日本政府は何もしなかったように思っている。
日本では横田米軍基地が航空管制の中軸を担っていることは、戦後一貫して変わらない。今も治外法権の如く占有している。何回か部分的変更がなされ、羽田空域での変更に寄与した。米軍にとって横田がアジア、西太平洋での空輸の巨大なハブとなっている。
同様に第二次大戦後の世界の航空機・航路などすべてが米軍に牛耳られる時代が長く続いた。ヨーロッパでは復興と各国の軍での調整が進んでいった。またフランス エアバスを中心にして航空機産業が再起していき、製造つまり型式証明などについても独自のものを作っていった。一方日本では国内のみでは航路が少なく、機数もない。それに東南アジアなどを統一するにも日本自体に力がなく、東南アジア諸国も発展途上であった。現在の中国が独自の型式証明も国内での使用が主であるためである。
まとめれば中国は国内需要である程度の機数を使うが、日本では世界を相手に商売を考えたことに基本的差異がある。この辺りが理解できなければ、三菱がFAA型式証明を求めたかは理解できない。
なお 軍用機は一般乗客を乗せるものではないので、安全基準が適用されずアメリカ連邦航空局などでの型式証明は不要である。川崎重工が生産したC2・P1いずれもがロールアウトしたことと異なる。日本政府も幾らかでも手を貸せば良かったと思うのは、おじさんだけじゃないと思う。
コロナにより世界各国の部品メーカーとの協調が採れなくなり、3年近く開発ブランクもあったことも原因である。三菱の次回に期待したい。頑張れ 三菱重工!
世界の空
世界の空に旅客機を飛ばすには、その機体の現状検査にて問題ないが、製造するにはさらに一段高い基準が設けられる。ホンダがGE社と組んだ所以でもある。アメリカで製造会社を立ち上げ、製造にかかる厳しい対応に慣れ、エンジンで販路を持ったGE社と組んだのである。実を確実に手にしたホンダの先見と思う。
型式証明の検査には、設計、製造過程、現状検査がある。 このうち型式証明の現状検査は意図した設計や製造方法によって完成した機体が耐空性を満たすかを検査するもので、完成した個々の機体が耐空性を有しているかを検査する耐空証明の現状検査とは異なる。
国際的には型式証明の基準として、アメリカ連邦航空局(FAA)が定める基準と EASA (European Aviation Safety Agency:欧州航空安全機関・欧州航空安全庁) が定めている基準が広く通用しており、各国はFAAおよびEASAの双方または一方と相互運用に関する協定を結ぶことにより、どちらかの基準に準拠した機体を各国で承認する形で運用されている状況にある。日本では国土交通省が定める基準に基づき国土交通大臣が発行する。
三菱重工業はMRJ(三菱リージョナルジェット)と呼ばれていた国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退を表明した。2008年に事業化を決めてから何度も納入を延期。コロナ禍に入って開発が事実上、止まっていたが事業化のメドが立たなくなり、休止との判断になった。
航空機は自動車以上にすそ野の広い産業である。一メーカーでカバーできるものではない。日本としての国家戦略を持って臨みたい案件である。現在半導体でアメリカ主導に沿って腰を上げたようで、まどろっこしい。何とかならないのか日本政府!