散歩道の途中に建築中の家があり、看板と言うか足場に付けられた養生シートに「無垢(むく)の木と暮らそう」とのキャッチフレーズが書かれている。建築中の家は「2×4」であり、外壁は金属折板であり、思わずどこが無垢の木と言いたくなる躯体(くたい)の仕様である。

無垢と言っても表面だけが無垢材になるのかも知れない。でも考えて見れば工業製品の溢れる中どうやって家を建てるのか?疑問が湧いてくる。

工業製品は規格・寸法に狂いがなく、大量生産できることが特徴です。しかし接着剤などを使用しているため ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンといった揮発性有機化合物、クロルピリホスなどの防虫防蟻剤などが発生します。身体に負担をかける物質に取り囲まれた生活を送ることになり、最悪の場合はシックハウス症候群と呼ばれる現代の病に侵されてしまう。

逆に無垢の木は経年で歪み・縮、水分量により大きく変形したりする。それ故 変化に対応できるように構造あるいは施工で逃がすように作られる。

極端にすれば 木を伐り自然乾燥させ「くるい」が収まって製材するのが良いが、どんな値段の木材になることか?と思う。
丸太小屋と言われるログハウスなどは直径方向つまり上下方向に丸太が大きく縮むのでセトリング対策・ブイノッチなど工夫が凝らされる。つまり現行の規格的要素の強くまた木の自然乾燥を待てない50日前後の建築期間では無理なことである。

それならば建築完了後に直ぐ住まず、定期的に換気して有害物の発生を排除する方法も考えられる。その間の住居の賃貸料を払いながら ローンを返せる余裕のある人は多くない。

独り言

おじさんが最も言いたいことは、どうせ中途半端にしかならないのだから、化学物質の影響を抑え込む理性的な行動と計画をするべきと思う。宗教のようなことを言い出す程、人に操られ 適当なものしか入らない。うわべだけ「無垢材」を貼った中で暮らすことが関の山である。

おじさんが若い頃 「文化住宅」の名のもとで、南洋材系統のべニア板などを多用した建築が溢れた。約20年が過ぎて接着剤の経年劣化で家々の傷みが引き起こされた。その反省とともに材質が改良され現在の使用している材料に近いものになった。そして2000年頃からシックハウス症候群が話題となって現在接着剤の管理・使用法に工夫をされてきている。

適切に管理して住み よく換気に努めれば、シックハウス症候群も抑えることが出来ると思う。過敏にならず理性的に行動できるかが大切なことである。

家づくり 工務店・大工だけに100%頼ることは出来ないと覚悟されたい。