家庭菜園をしているとよくわかるのだが、日本は恵まれた国土と思う。地震・台風そしてそれらに伴う津波・洪水などあるが、概ね気象に恵まれ昼夜の寒暖差・季節による寒暖差など小さくしのぎやすい。強いて言えばこれから発生する蒸し暑いと言われる高温高湿度が辛いのが傷である。

以前 北海道・樺太(サハリン)を調査した間宮林蔵・大黒屋光太夫などの文書に見える着物の防寒などについて指摘されている通り、耐寒性は余りない。着物は基本夏向きであり、成人式など寒い時期に着用すればご理解頂けると思われる。

日本の建築は伝統的に夏向きに作られる。昔はエアコン装置などがないので当然のことである。近年の住宅を除けば断熱性能は先進国最低レベルである。蛇足であるが、エネルギー費用の高騰を考え、湿度による住宅の劣化を複合して考えれば、中断熱程度で比較的大きなペアガラス窓で風を通し、エアコンを止めるなど いかに端境期を乗り切る工夫などが大事と思う。

脱線しそうなので元に戻して・・兼好法師の徒然草55段には 「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とある。更に「冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」となる。

昔ながらを引きづることもなく、地域そして時代の流れとエアコンなど器具に合わせて住居を作り上げればよい。徒然草には続いて「深き水は、涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し。細かなる物を見るに、遣戸は、蔀の間よりも明し。天井の高きは、冬寒く、燈暗し。造作は、用なき所を作りたる、見るも面白く、万の用にも立ちてよしとぞ、人の定め合ひ侍りし。」と今の時代に合わないこともあるが、参考と出来ることもある。

日本人を育(はぐく)んだ「風土の程ほどさ」に感謝せずにはいられない。

気象

アフリカ・アメリカの砂漠如くに昼は50度を超え、夜はマイナスになる気温の下では自然と共存することは難しい。また中国でも大陸性気候のため、日本と違い上海の冬でもマイナス20度まで下がる。ここまで気温が下がれば下手すれば凍死してしまう。

ところがイタリアも日本同様に火山の風化した土地が多く、狭いが農地として高い生産性を持つ。日本は更に温帯モンスーン気候のため雨も多く、気象にも恵まれ 農業生産性もそれなりに高い。イタリアではサハラ砂漠からの高温の季節風により、南部では少雨高温と厳しい。

俯瞰して見ると、たまの地震・台風が無ければベストであるが、これにより火山が作られ そして風化して豊かな土地となったことを考えれば、致し方ないと思えてくる。

・・と言うわけで日本では自然に逆らうことなく、程ほどあるいは適当にやっていけるほど、 気象と大地が豊かである。これが自然と共存するという日本人的思考での素地となっていると思っている。

ヨーロッパ・アメリカなど多くの国は、厳しい自然と戦わないといけない要素が大きい。日本の如く 自然とともに生きられるという考えは・・矢張り日本独自の局地的な話であると感じる。

投稿者

おじさん

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