町内に住まわれていた方の土地を相続した子供夫婦より、土地を自治会に寄付したいとのご連絡をいただき奔走していたが、売買による取引が最良と判断して取引を行うことにした。
約7か月ほど掛かったが終局に向かって進みだした。
なお 以前書いたように 自治会が贈与を受けた場合は「みなし贈与」とされ、税金・費用など考えれば、売買価格の以上の贈与税負担となる。ことわざ通り「只より高い物はない」。
売買は成立しそうにもない土地(排水なし・接道義務違反)ではあるので、隣近所など敷地が接している土地の持主以外は購入しても使用できない状況である。持主と近所の不動産屋に頼んで、売り出してもらい 不動産流通センター他に登録などしたが、買い手はつかず半年近く過ぎた。横槍が入るでもなく、大過なくというか 当然のことではある。
税務署その他が言う評価額以下でも、まったく自由取引が成立しないことを確認できた。そうすれば昔からの決まり文句 「出来たが相場」と出来る。売主・買主・不動産業者がそれぞれリーズナブルと納得出来る価格で調整・同意を得ることが出来た。
後は自治会内で了承を得て、不動産屋・司法書士(登記)なども調整すれば事足りることになった。
贈与
税法上 地方自治法で定められた地方公共団体である「市町村」と総務省省令による法人である自治会の扱いについて差異がある。例えば今回のように所有者が「寄付」の申し出を行っても市町村であれば贈与税などは掛からない。あるのは市の基準であり、今回のような接道していない土地などは最初から門前払いされ、相手してくれない。逆に言えば市町村も、固定資産評価額を実際の評価としていない現実・内情がある。
市長が後輩であったので、担当部署を紹介してもらい、市が受け入れ後 管理の権限・利用権設定などが出来ないか検討をお願いしたが、先の接道などの収用ルールに阻まれた。この辺りを政治的に無理やり通せば、孫・子の代で爆発するので無理はしない。
市町村に届けられた法人としての自治会では贈与税課税対象となる。課税されないためには 公益性などを訴える申請書を提出し、国税庁で認められる必要がある。作成要領など資料を見たが、税理士等に依頼しなければならないレベルであり、税理士への依頼・費用を考えれば高額過ぎて、地域の自治会の手に負えるものではない。実際に知人の税理士に聞いたが、作った経験もないのでそれなりに請求するとの回答も得た。こうなると制度作ったら、財務省と総務省の間で何とかしろよ!としか思わずにいられなかった。
以上の諸条件を検討した結果、方法は当事者同士の低価格売買しか残らなくなった。
第三者開示
持ち主に相談して、知人の不動産屋より固定資産評価額の四分の一の価格で売り出し、県の不動産流通センターにも登録した。結果は半年出しても売れることはなかった。この厳しい世の中で、誰が家も立たない土地を買うかということである。引き合いは電話のみで終わったとのことでもあった。
そんな訳で自治会が破格の値段で購入することになった。先日役員会及び区長会にて承認を受け、金額も安いので総会を待たず進めて良いことになった。
最終的に税務署他から文句が出ても・・・自由取引にて形成された価格であるのでというほかない。なお不動産業者への仲介手数料などが格安になるため、業者とそれなりの付き合いがないと、業者も手間のみ仕事となり出来ない。
なお 不動産業者が嫌がった場合は おじさんが契約から手続きまで一切をする覚悟があった。不動産業法違反となるのは「継続的取引」のみで、1回程度無償で行っても処罰の対象ではない。登記にしても売主と買主が共同で 直接法務局での指導を受けながら行うことも、厳密には法令違反ではない。公序良俗に反する行為でもないので・・おじさん イザとなれば男になる覚悟がある。(今なら 言える)
後は個人レベルで不動産業者に力を貸してやらないといけない。自治会あるいは土地の持ち主には喜んでいただいたが・・おじさんが気が重くなる点でもある。でもおじさんの無理したことを、幾らか周囲の皆様にはご理解いただけたと思う。