現在のトヨタ アクアに搭載されるバイポーラ型ニッケル水素電池 これが従来とは別物である。従来のトヨタのハイブリッド車に用いられてきたニッケル水素電池より電圧・容量が高くなった程度にしか見えない。何が異なるのか?未だにリチウムイオン電池とならないのか?と考えた時、トヨタの安全に関する考え方と先進性そしてしたたかさに思い至る。リスク回避のために持って置く技術の一つとして重要な技術とといえる。
簡単に言うと トヨタがHEV用電池のニッケル水素電池を、より省スペースかつ能力アップしたものといえる。だがアクアにおいても 廉価グレードにはリチウムイオン電池を採用していることを考え併せれば更に驚く。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池のメリットとしては枯れた技術であり、以下が考えられる。
・安全性が高い
・耐久性に優れサイクル寿命が約3000回と長い
・リチウム・コバルトを使わないことから調達リスクが少ない
今回は 2つの電極を合体させたバイポーラ型となった。これにより
・セルを接続するコネクタが不要
・電極が1枚で済む
ニッケル水素電池をトヨタはハイブリッド車用のバッテリーに採用してきた電池である。初代プリウス(1997)から採用されてきた。近年では他社の車載電池の主流はリチウムイオン電池に移り変わっている。
コスト削減と高エネルギー密度化を計った選択と言える。よく考えて見れば 昔から繰り返し使うお馴染みのエネループ電池と同じ延長線にある。
リチウム電池
トヨタの担当者は「同じ体積のリチウムイオン電池パックと比べて 25%の容量増を達成できた」と話していることから、電池単体ではなく パックとしてリチウムイオン電池を上回る性能を達成したようである。一方で、急速充電性能やエネルギー密度でリチウムイオン電池に劣りおまけにコストが上がるなど、本流の技術としては疑問が残る。
既にトヨタは全固体電池を発表しており、この性能には及ばない。なお全個体電池はリチウムイオン電池を個体化したものである。なぜ一気に切り替えて行かないのか 疑問が生じる。
ニッケル水素電池のデメリットとしては
・同じ電圧を得るためには、リチウムイオン電池よりもセル数が必要
・急速充電や急加速の性能でリチウムイオン電池に劣る
しかし バイポーラ型ニッケル水素電池の利点は以下のものが挙げられる。
・安全性耐久性に優れる
・リチウム、コバルトフリーで調達課題・価格メリットが大きい
・ニッケル水素のエネルギー密度問題を改善
おじさんはアクアの廉価バージョンにリチウムイオン電池を採用している点から、性能劣化スピードがバイポーラ型ニッケル水素電池では遅いからと思っている。また世界に展開する際 より安価な素材を使い かつリサイクルコストも低ければ、 リチウムイオン電池に 十分対抗できるとトヨタが考えてのことと思う。
リチウムイオン電池 GM ボルトに取り付けたLG製の電池が爆発騒ぎを先日から起こしている。充電コントロールしても能力を下げてもダメと、製作上の問題がクリア出来ずリコールに発展している。車と言う商品はリサイクルも考えた安全性を求められる製品である。リサイクル・再生に当たり後進国の環境を汚染させてはいけないので、 ニッケル水素電池 の如く枯れた技術を見直すのも良いと思う。
全てを見渡して戦略を決め、各パートごとに只ものでない力を見せつける。トヨタとは恐るべき企業である。