近日の報道で韓国の造船会社(韓国造船海洋)が800億円以上の大赤字となっていることが発表・報道されている。今回は鉄鋼会社の厚板の値上げ・・・が原因と他業種に責任を押し付けているようである。

原価の変動も予測せず大量受注したのが悪いのだが 往生際が悪いとしか言えない。これは言葉を変えると旧来同様 韓国政府が補填してくれる見込みで無理をした結果であると思っている。

正直 おじさんが 5月に「造船の未来」として最後の2段に書いた顛末と似通ってきたようである。

おじさんに言わせると日本政府と日本の業界は中国・韓国を監視すべきと思う。適正な商売をせず、同業者に迷惑を掛けたのであるからペナルティーを受けて当然と思う。

大赤字を発表した会社 LNGの標準的なものを2億ドル 200+α億円で受注したのであるから、業界を知る日本人に ため息の出ない者はいないと思う。海外あるいは日本の船主の 韓国の大廉売に参加することは 資本家としては当然の行為である。誰も 「特売」に殺到するのは止められない。スケールメリットがここまであるの?と言うのが本音である。

船舶の受取時期のズレが生じる可能性が高くなったと感覚的に思う。損害を受ければ、請求し船主は損害を十分補填して貰えばよい。

韓国は先日 自ら望み 国際的に先進国として認められた。以降は先進国としての責任を果たすことを望む。

引き渡し時期調整

船の建造年により、排ガスなどの規制が変ってくる。また赤字縮小の為 韓国は引き渡しを延期・調整あるいは設計などを共有化してコストダウンを計ってくる。その為 事前ブロック組み立てなど色々な「テクニック」をやってくるだろうと思っている。船級協会などの適正な監視・管理が望ましいと思う。

補足するが 船は建造開始時期が排ガス規制の基準になるので、事前に建造に必要パーツ(ブロック)の組み立てを始めていましたと言い逃れできる。

造船会社がよく使う手法であるが、現代造船が過去に石油リグ船と呼ばれる船舶の納期延長に対して、船主よりキャンセルを受け、組み立てたブロックの破棄・組み立てた船舶の廃棄が発生するなど被害を受けた。一昨年この赤字を計上したとの記憶がある。

現在 韓国造船所は韓国鉄鋼メーカーと相談中としている。ヘタすればダンピングと見做せるかも知れず、おじさんその状況を注視している。

現在韓国造船業が赤字に落ち込んだのは、無理をして適正受注をしなかった結果であるので、同情の余地はない。その為 日本の造船業は少ない受注量で どうにか耐えて来ている。 韓国造船業 が競合相手を潰し市場を独占する目的なら、許されることではない。

最新の話題で 今治造船の受注残が2年を超えたとのニュースもあり、多少明るくなる兆候かもしれない。

造船会社は 厳しくなる排ガスなどの環境規制への対応もあり、排ガス対応の進んだ新造船への需要が増していくのは間違いない。

日本の造船業

日本のLNG船について思うのは、過剰品質と思う。LNG船の建造後20年以上経過した球形タンク内外を見たが、傷も腐食もなく 更に20年以上 使用できると思う状態であった。

エンジンあるいは計測設備、補機そして船体外板などはそれなりに傷んでいる。初期の研究目的もある船舶の為 船体も十二分な設計であり、腐り代を考えれば同様の年数使用も可能と思われた。

一応に劣化していないので修繕すれば使えるが、主機・補機・計装他と排ガス規制など考えれば継続使用は無駄が大きく、無理がある。

昭和・平成前期の自動車と同じである。丈夫で品質の良い部品が多く、車体の強度も落ちてない。腐らすには勿体ないが、排ガス規制があるので仕方なく・・である。

日本での設計の考え方を見直してもいいのじゃないかと思った。それなりの耐久力でいいように思う。そう言えばメガコンテナ船のように2万個近く積む船の強度計算書を見たことがあるが・・・相対的にはそれなりの寿命と想像できる部分があった。多分材料の限界近いためかと思った。

おじさん勉強が不足でメンブレン型関連を見たことはないが、経年変化したLPG船などを見る限りでは、廃船時期を考え、コスト競争が出来 耐久年数の劣ると考えられるメンブレン型をメインに考える時期と思う。

良いものを作れば良いと 素直に言えない時代である。

投稿者

おじさん

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