断っておくが、「シニア人材はダメ」と言う気はない。おじさん自身がシニア該当者であり「まだいける」とは思っている。
技術系のパソコンなどでの応力解析も それなりの自信はあり、後輩となって頂ける方に 手法などは伝えたいとは思う。
同級生あるいは先輩を見ていても シニア人材が若者に比べて遥かに優秀と思うことが多い。
でも それだけじゃないんですよ!ポリシーの問題あるいは美学と言うべきかも知れません。
すがる
能力を「組織にすがる」方向へ流れるとおかしなことになる。
「社員がシニアになっても すがる(しがみつく)マインドが強いような組織は成長ができない」と思っている。
定年まで会社にしがみつく人は、最終的な目標は無事に定年を迎えることなので、どうしてもリスクを取れない。
社内では長いものに巻かれ、身を切るような改革はどうにかして避ける傾向が強い。
人間というのはどうしても、既得権益を享受することがやめられなくなり、後進の若い世代にとってマイナスの存在になってしまう。
考えすぎだと思う方も多いかもしれないが、一般社会では、「暴走老人」「キレる老人」などの言葉に象徴されるシニアトラブルは多発している。
老化による脳の萎縮で“怒り”という感情を抑えるブレーキが利きにくくなることは医学的にも分かっている。
「長年尽くしてきた会社に裏切られてパワハラを受けた」なんてトラブルに発展するかもしれない。
遠すぎる定年
自分の祖父ほど歳の離れた 60~70代のじいさん達の機嫌を 取らなくてはいけないような職場で、若い世代の社員たちはモチベーションを維持できるか?
「オレもあと50年ガマンすれば、・・・・」と考えて、じっと堪えるサラリーマンの鏡のような人もいるだろう。
おじさんが その立場だとしたら「バカな」と思えるので、能力のある人であれば「バカバカしい」と思うのは当然ではないか。
組織の中に失望が広がれば、「優秀な人材の日本企業離れ」を促進するかもしれない。
多くの外資系企業は、結果を出さなければ解雇もあり得るような不安定な環境だが、シニア人材をヨイショして機嫌良く働いてもらうなどの気苦労はない。
外資ほうがマシだと考える若者が増えていくのだ。
「70歳まで会社にしがみつくおじさん」が処遇などをキープしようと バリバリ働けば働くほど、若い世代の賃金とモチベーションは下がる。
会社にイノベーションをもたらすような有能な人材が流出して 競争力を低下させるという「負のスパイラル」に陥ってしまう恐れがある。
老害
ベテラン社員が増えたことで、日本企業の競争力が高まったかというと残念ながらそんなことはない。
経済統計から考えれば 会社の平均年齢が上がり ベテランが増えれば増えるほど日本企業の競争力は落ちている。
世界の時価総額ランキングで、かつては上位に食い込んでいた日本企業は高齢化とともに続々と脱落し、50位圏内に残っているのはトヨタ自動車のみ。
シニアが活躍できるのは バリバリ働く経営者としてのみである。これは各業界の辣腕経営者を見ればおのずと理解できると思う。