先日 生産性について考えを書いたが、おじさんは「働く人間の生産性が劣るのが原因」と思っていない。安倍政権時代から「生産性」と言う言葉が何度も出てきました。そして「日本の一人当たり労働生産性は先進国の中で低いほうだ。だからもっと頑張って働け」というような論調となり、「労働生産性が低いのは、働く側に問題があるからだ」というように論理展開されてきた。常々 実態から離れて乱暴な意見・論理と思っていた。
おじさんは「経営と生産性」の問題と思っている。経営者の問題も指摘しないといけないと片手落ちと思う。御用マスコミが多いのか?突っ込んでいかないことを疑問に思って来た。
労働生産性
単純に数式化すれば 労働生産性は
一人当たり労働生産性=利益÷労働者数
という数式になる。利益を上げるか労働者数を減らせば「一人当たり労働生産性」は上がります。だから単純に人減らしが 合理化という名目で実施されます。しかし 利益は労働者だけが作るものではありません。
よく言われるように「人・モノ・金」が経営の3要素であり、この3つをうまく使うことによって企業は利益を上げます。
利益はこの3つの組み合わせですから、人(労働者)以外のモノや金の生産性も考えなければなりません。モノ(設備、建物、原材料、部品など)が多いのに利益が上がらないのであれば、「モノの生産性」が低いと言うことです。設備投資、原材料仕入れ先変更などでモノの生産性は改善できる。
そうなると 次は「お金の生産性」に注目しないといけない。現在日本企業の内部留保は史上最高の380兆円にも達しています。それだけのお金が活用されずに眠ったままということです。従って 現在日本で一番生産性が低いのは、実は3つ目の「金の生産性」と考えられます。
労働者数が史上最高になっているわけではありませんから、労働生産性に一番問題があるのではないの考えるのが当然です。
自己資本利益率
なぜ「一人当たり労働生産性」をこれほど問題にしておきながら「お金の生産性」があまり問題にならないのでしょうか?
それは、労働者には給料という維持コストがかかるけれども、お金はいくら持っていても維持コストはかからず逆に金利を生むという面があるからです。
ちなみに「お金の生産性」には、ROE(自己資本利益率)という指標があります。
このROEの国際比較を見ると、日本の「お金の生産性」の低さは労働生産性どころではなく、とんでもなく低いことが分かります。
日本企業のROEは、アメリカやヨーロッパ各国平均の3分の1から4分の1のレベルです。
「お金の生産性」の責任は経営者にあります。日本の経営者は、自分の責任である「お金の生産性」がとんでもなく低いのに、労働者に生産性が低いと言っているバカたれです。 問題となる「お金の生産性」 を上げるのは経営者の仕事です。 「お金の生産性」を上げて、労働者への分配を計るべきと思います。
ROEの国際比較は下記資料などにありますのでご確認ください。
経済産業省「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト(2014)『最終報告書(伊藤レポート)』
最後に おじさん経営者としては引退し、世間様からも戦力外通知を頂ていますので好きなように言えます。
経営者のあなた達が不甲斐ない。何とかしないといけない。日本の経営者の多くは失格の烙印を押されないといけないと思います。
なおこれを書いてる途中に 騒動の中心となっている中国の不動屋さんにまつわり、他中国企業の簿外債務の話なども出てきました。この辺りを考えると負債を圧縮しようとした経営者のモラル問題も出て来そうで、中国の先行き益々暗雲が垂れ込めて来ました。 「お金の生産性」 を優先するあまり 中国の様に 正直さが抜けるとまた問題です。