家が浄土真宗門徒なので仏花としてお墓やお仏壇にお供えする。生花のキクなどよりも上位と教えられてきた。
従って関西であれば献花はとなると真っ先に思い浮かべるのがこちらの樒(シキミ)である。
おじさんの付近では「しきび」と訛る。
仏との縁
樒(シキミ)は俗にハナノキ・ハナシバ・コウシバ・仏前草といわれ、弘法大師空海が花の形が青蓮華に似ていることから、これの代用として密教の修法に使ったのが始まりのようです。
仏との縁を結ぶ結願灌頂などに使われる。目隠しをして印を組み、樒(シキミ)を指で挟み、真言を唱えながら投華(とうけ)する。
そこには曼荼羅が置かれ、自分と縁を結んでいただける仏さまがいる・・・
このくだり 司馬遼太郎の「空海の風景」を参考に、見てきたかのように書いてしまいました。
なお弘法大師は大日如来様にシキミが落ちました。
常緑の木ですので年中継続して美しい。病害虫なども着かず、おじさんの家では 畑の隅に植えていたが、手間いらずであった。
葬儀の際には枕花として一本だけお供えしたり、「末期の水」を故人に差し上げる時には樒(シキミ)の葉を一葉使ったりなどもする。
香り
樒(シキミ)にはその全てに香りがあり、葉の粉末は線香や抹香の原料に使われたりする。
またこの香りがあることから、昔はドライアイスなどのご遺体の腐敗を遅らせる術がなく、臭い消しとして用いられたとの説がある。
また香りは獣がこれを嫌い、近寄らなくなるため墓前に挿して獣が墓を荒らすのを防いだとされる説もあるようです。
特徴と名前
果実は猛毒で種子にアニサチンなどの有毒物質を含みます。誤って食べると死亡する可能性がある程に有毒と言われます。
実際 事故が多いため 樒(シキミ)の実は植物としては唯一 劇物に指定されています。
樒(シキミ)の名前の由来には諸説あるようです。
四季を通じて美しい木である事から、「四季美」がシキミの語に転成したという説
実が有毒なため「悪(あ)しき実」とされ、それが転じてシキミとなったとする説
果実の重なり付く様子から、「敷き実」としそのままシキミの名になったと言う説
などがあるようです。
この他、樒(シキミ)を挿した水は腐りにくく日持ちがする特徴もある。
お墓の花を入れ替える際 水が腐ってないことがあります。このあたりに効果が出ているのでしょう。
R3年3月28日散歩中 畑の一角に植えられたシキミに花が付いていた。正直 写真で花の付いた姿を見ただけであった。実際の花の付き方が明確に分かり勉強になった。