これは得失をまとめましたので 会社の概要がお分かりになればいいと思います。
最近、Googleなど米国にある大企業が日本法人を合同会社で設立したケースなどがあります。このケースは、代表者を法人にすることで米国の会社に支配させつつ、米国税法のパススルー課税を適用することで日本法人の損益を米国法人に流す狙いがあります。
目的に合わせ 会社システムをどう利用するか否かを決めるのは起業者です。
おじさんはこれからの起業トレンドは 合同会社 次は 株式会社かな? と思っています。
最後に 合同会社,株式会社,個人事業主について、簡単にまとめた会社組織要約表を添付しますのでご参考にしてください。
株式会社
■メリット
・ほとんどの業種の事業で株式会社が使える
・新株発行、銀行融資等、資金調達方法が増える
・経営者の判断で弾力的に社員数を増やすことができる
・有限責任なので会社が倒産しても負債の責任は自分が出した出資額の範囲に限定される
・社会的信用度が高くなり、人の採用が容易になるほか、取引先からも信頼されやすくなる
・最低資本金制度が撤廃されたので、以前と比べてかなり設立しやすくなった
■デメリット
・設立費用が他の会社組織より高い(法定費用だけで約20万円)
・決算公告の義務があり、毎年決算終了後に会社の決算書を公表しなければならない
・株主総会、取締役会といった会社の機関設計に法律の制約が多い
合同会社
合同会社は増加傾向です。また 合資会社や合名会社を使って法人化する会社は極めてまれになっています。
簡単に合同会社が作れるようになったことで、合名・合資会社の存在意義はほとんどなくなってしまったと言っても過言ではありません。
■メリット
・設立費用が株式会社より安い(法定費用で約10万円)
・最低資本金の制度がなくなり、信用・労務・現物出資のみでも設立ができるようになった
・組織構成がシンプルなので会社の意思決定が株式会社より早い
・有限責任なので会社が倒産しても負債の責任は自分が出した出資範囲に限られる
・会社の維持に掛かる手間と費用が株式会社より少ない
・出資比率に関係なく全員に対等な議決権がある
・出資比率にかかわらず、事業に対する貢献度に応じた利益配分が可能
・個人事業主に比べて経費として認められる範囲が広い
・株式会社のような決算公告の義務がない(ただし、合併、組織変更、資本金額の減少等の
場合は官報に公告の義務有)
■デメリット
・持分会社は社員自身が出資社であるため、増員をする場合は全社員の同意と定款への変更が必要となり、株式会社と比べ手間がかかる
・銀行融資など資金調達方法が限られる
・出資者間の人間関係がうまくいかないと会社運営がまずくなるリスクがある
・株式会社に比べてに認知度が低いため、社会的信用度が低い
・事業規模が拡大しても株式上場できない
合資会社
合資会社はかつて少ない資本で設立できる法人として利用されてきました。
2005年に最低資本制度が撤廃され、かつ2006年の新会社法施行で合同会社が作られた経緯もあり、現在では会社形態としてあまり需要はありません。
■メリット
・設立費用が株式会社より少ない(法定費用で約10万円)
・最低資本金の制度がなくなり、信用・労務・現物出資のみでも設立ができるようになった
・会社の意思決定が株式会社より早い
・会社法に違反しない限り、自由に会社の内部組織を規定・設計できる
・会社の維持に掛かる手間と費用が株式会社より少ない
・出資比率に関係なく全員に対等な議決権がある(ただし無限社員が有限社員よりやや発言権が強い)
・出資比率にかかわらず、事業に対する貢献度に応じた利益配分が可能
・株式会社のような決算公告の義務がない
■デメリット
・合同会社と同様、社員の増員には総社員の同意と定款の変更が必要になる
・会社が倒産した場合、有限社員は負債の責任が出資範囲に限定される一方、無限社員は負債の
責任は全て負う(その分、無限社員は社内で大きな業務執行権が行使できる)
・株式会社に比べて資金調達方法が限られる
・出資者の人間関係がうまくいかないと、運営がまずくなるリスクがある
・最低資本金制度の撤廃で合資会社の有利性がなくなり、現状利用者が少ない
・会社法の改正により有限責任の合同会社ができたため、経営者が直接リスクを負う合資会社
をあえて選択する必要がない
・合資会社は社員2名以上(無限責任社員1名、有限責任社員1名)で設立できるが、退社等で1名
になると合同会社、合名会社等に組織変更しなければならない
合名会社
合名会社は責任形態として無限責任社員からのみ構成されている組織形態であり、その性格は個人事業主に近いものがあります。
現在、実際のビジネスの現場ではほとんど見かけない会社組織です。
■メリット
・設立費用が株式会社より少ない(法定費用で約10万円)
・最低資本金の制度がなくなり、信用・労務・現物出資のみでも設立ができるようになった
・会社の意思決定が株式会社より早い
・会社法に違反しない限り、自由に会社の内部組織を規定・設計できる
・会社の維持に掛かる手間と費用が株式会社より少ない
・出資比率に関係なく全員に対等な議決権がある
・出資比率に拘わらず、事業に対する貢献度に応じた利益配分が可能
・決算公告の義務がない
■デメリット
・合同会社と同様、社員の増員には総社員の同意と定款の変更が必要になる
・会社が倒産した場合、合名会社の出資者は無限責任なので、債務者に対する負債の責任は
出資者全員が連帯で背負う
・株式会社に比べて資金調達方法が限られる
・出資者の人間関係がうまくいかないと、運営がまずくなるリスクがある
・会社法の改正で合同会社ができ、合同会社が有限責任なのに、経営者が直接リスクを背負う
合名会社をあえて設立する意義がなくなった。
会社組織要約表
合同会社 | 株式会社 | 個人事業主 | |||
定款の作成 | 必要 | 必要 | 不要 | ||
定款の認証 | 不要 | 必要 | 不要 | ||
設立登記 | 必要 | 必要 | 不要 | ||
設立登記費用 | 10万円程度~ | 24万円程度~ | 0円 | ||
最低資本金 | 1円 | 1円 | 資本金なし | ||
出資者の人数 | 1人以上 | 1人以上 | 不要 | ||
出資者の名称 | 社員 | 株主 | なし | ||
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 無限責任 | ||
代表者 | 代表社員 | 代表取締役 | なし | ||
取締役の人数 | 全社員 | 1人以上 | なし | ||
取締役の任期 | なし | 2年~10年で定める | なし | ||
取締役会の設置 | 不要 | 任意 | なし | ||
監査役の人数 | 不要 | 1人以上 | なし | ||
監査役の任期 | なし | 4年~10年で定める | なし | ||
決算公告 | 不要 | 必要 | 不要 | ||
持分の譲渡 | 社員の承認が必要 | 自由だが制限を設置可 | なし | ||
定款変更の方法 | 全社員の同意 | 株主総会で2/3以上の同意 | なし | ||
業務執行 | すべての社員 | 取締役会 | 本人 | ||
最高決定 | 社員総会 | 株主総会 | 本人 | ||