「歴史は繰り返す」とはカール・マルクスの言葉であり・・万事そうとも言えまいとは思っている。そして中々一筋縄のようには繰り返すまいとも 個人的に思っている。

 先の昭和大恐慌時代 アメリカのフーバー大統領は第一次世界大戦後、農産物の下落を止めるため、外国からの農作物輸入を制限する高関税政策を検討していた。1929年10月に世界恐慌が始まると、議会内にも保護貿易主義が台頭し、農産物のみならず工業製品にも高関税を課す法案を提出した。その法案が議会を通過するとただちに大統領は署名発行した。

 このような保護貿易主義は世界経済全体から見ればマイナスであり、恐慌対策としては逆効果であると主張する1000名以上の経済学者が大統領に署名しないよう警告したが、フーバーはそれを無視して署名し 同法は成立した。これによって3300品目のうち890品目の関税が引き上げられ、アメリカの輸入関税は平均33%から40%となった。オランダ、ベルギー、フランス、スペインおよびイギリスは直ちに報復的関税措置を発表した。

 結果としてアメリカへの輸出の門戸を閉ざされたヨーロッパ経済の危機が醸成され、ドイツの銀行制度の崩壊となった。一面で31年春にはアメリカの生産と雇用は向上の兆しを見せたので、フーバーは保護主義が正しかったと主張し、アメリカを恐慌に陥れたのは軍事支出を増大させて財政均衡を失ったヨーロッパ各国の政策が原因であると後に述べている。1932年の大統領選挙ではフランクリン=ルーズベルトはフーバーの高関税政策を厳しく批判し、選挙戦で勝利することとなった。

 F=ルーズベルトのもとでニューディール政策が始まると、国務長官となったコーデル=ハルの努力により、1934年6月に互恵通商協定法が成立して、経済ナショナリズムを修正し、多角的、互恵的な貿易関係を復活させた。1936年にはイギリス・フランスとの三国通貨協定、38年に米英通商協定を制定し、続いて39ヵ国との協定を締結した。1939年にはその流れで中立法を改正し、イギリスに対する財政的・軍事的支援を決めた。共和党はこの時点でも高関税政策を標榜したため、輸出不振に悩む産業界の支持を失い、ルーズベルトの再選を許すこととなった。

 中国締め付けを除けば 似たようなことをしているのがトランプである。だが 電子部品で言えば 計画・設計はアメリカで、生産を台湾その他に任せて 利益最大化出来たのがアメリカの企業である。今さら川上から川下まで全てを手に入れようなどとは・・おこがましい。重厚長大である鉄鋼・造船そして自動車などの復活を目指す方針らしいが・・・今さら 巻き戻そうとするのは難があり、それに振り回されるこちらの我慢にも程がある。

 また 自国労働者へ要求する基礎能力・質などが変わっていることを理解していない。昨日「溶接」の話を書いたが・・それを出来る労働者を育てるには時間が掛かり、今日から溶接工と呼べるプロは生まれない。

 一方中国を考えると 別格の生産能力は有するが、労働者・国民としては戸籍制度で作られた貧乏な農民工などを多数持つが購買力がない。消費できる都市戸籍の労働者は少ない。自ら国民の身分を改革してこなかった付けが・・ローマにおける農奴・奴隷同様に作用するので・・実際の市場規模は小さい。そんな状態で輸出に頼って大きくし過ぎた経済を・・内需中心に転換するなどまず無理である。

 最後に 中国・米国 お互いに気が済むようにやってちょうだい!・・・それにしても迷惑である。

投稿者

おじさん

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