今年の祭りでは 下働きとしてうどんの接待要員となった。いつもなら若い衆の中での要員手配となるが、今回は自治会で実施となった。いつも若い衆の手伝いに来ていた70歳前後が今年は欠席が多い。皆様 当番である神輿などの担ぎ手になったのかもしれない。

太鼓台を神社に移動するのが昼直前となるので、うどんの接待は昼前に終わる。従って役目としてはお気楽モード全開で仕事する。

うどんのお代わり自由なので、人により3玉食べるのもいる。子供では最初からネギをのせないでと言って来るのが半分はいる。10時50分頃には ドタバタしながらもうどんの配膳が終わり、のんびりする。残るは「奴さん」である。11時15分が来ても来ない。

「はいやさーー」などと声を掛けながら毛槍を交換したりして、5分ほどでガッポリである。そんな訳で 午前中は稼ぎ時とばかり軒数伸ばしに頑張っているのに違いない。おじさんの地区の神社前での演技が最終であり、ここで昼を済ませ後は本宮で待機・御旅所行列となる。

みんな分かっているので 準備・演技5分と端折り、11時30分には神社前での演技終了。早速 うどんとビール・酒と食べて飲んでいく。子供も神社前に揃い、全体でさりげないプレッシャーを掛けて急がせる。それでも3玉食べたのが4人はいた。

奴(やっこ)が出発しないと地区神社に参拝しての出発式が出来ないので、太鼓台の出発も出来ない。今年も何とか 無事11時45分の太鼓台出発となる。

出発前の写真 浜西太鼓台で検索頂ければ・・即!

おじさんの地区の太鼓台は・・見る人が見れば知っている太鼓台の一つである。現在の金隣と言う会社を起こす以前(仕事を始めたばかりの頃)縫師の合田氏を紹介され会った。作っているパーツあるいは一部の半完成品を見て、デザイン・新しい製作方法・技術などに惚れ込んだ。

若い衆の間で「作るならこの縫師しかいない」と方向が定まった。ここから お金の苦労が始まるが・・おじさん個人は 自治会の年長者をはじめ ご主人を亡くされたばかりのおばさんまでご協力いただいたので、チャラい性格のためか 苦労と思っていない。懐かしい思い出である。

作るにあたり話し合いをして 大半の太鼓台の刺繍幕の題材にテーマ・物語性がなくなっていることに気付いた。張り出した御殿の軒・龍などの翼に終始し、肩で風切るような派手さを競い 大半が似通っていた。

さらに三国志をテーマ・題材にした刺繍幕がなくなっていることに気付いて、題材に三国志があがった。以前の太鼓台幕は厳島神社の氏子らしく「厳島神社と清盛」「海女の玉取」「竜王宮(竜宮)」瀬戸内海の物語をテーマにしていた。幕のテーマの踏襲については最初に賛否を分けたところであったが、大きく変更することなど挑戦も出来ない・・三国志なら 幕ごとそして幕全体の物語も自由に作れると言うことで選んだ。

勿論 合田氏に自由自在に製作していただくことを考慮して製作期間は長期とした。他の太鼓台を作る都合があればそちらを優先して構わない。挑戦したい事柄・製作方法があればご相談いただい上、挑戦してくださいなど ごく緩く契約して制作を始めて頂いた。

合田氏は造船関係の大学を出られていたし、当時は おじさんも今治造船本社での打ち合わせがあれば、帰路作業場を覗かせていただいた。その為 親しくなるのも早かった。

そんなこともあり 他の太鼓台の製作中の幕も見せていただいて勉強できた。例えば 本郷の太鼓台は龍の牙・爪に象牙を使用したが、浜西の龍の牙・爪は予算の関係もあり 人工の象牙などを用いた。従来からあった金属+刺繍製は最初から問題外であった。更に言えば 隠れた流れはネオクラッシク。新しい素材と新手法・表現で・・昔ながらも新しいである。

その為 比較すると人工の象牙は破損を気にせず、曲がりを大胆に製作出来かつ形状のデザイン性などが良くなったと思う。素材を本物に拘るか?デザイン性に素材選択を振り向けるか?それぞれである。

そんなこんなで 布団締めの阿吽の龍は「喜怒哀楽」をテーマに4面全て変えるなど、寄ってタカって意匠を詰め込め込んだ。あらゆる場所に従来なかった手法を開発し 取り入れたため、完成するにしたがって合田氏の化け物じみた製作技術・才能などの進化を見せていただいた。この幕の後に製作された金隣の太鼓台幕に生かされているのを発見し、嬉しく思っている。

例えば鳳凰の尾羽を表裏なく作れるようになったので、どんな角度でも尾羽を曲げたり裏返したり自由に出来ると笑っていたことを思い出したりする。またチョウセンと言う女性の顔一つでも何度も変わっていくのを目撃している。その他 縫師自身が納得するまでやって頂いたことへの感謝は今も半端ない。

合田氏が延び延びになった太鼓台披露前日 幕の引き渡し直前の最終チェック・手直しの際、何か所か指さしながら「今できるのはここまでです。今やっても同じになります。」と聞いた際は涙が出そうになった。他の人間は準備作業で出ており、自治会会館で二人だけであったので話してくれたと思っている。

まあ長くなりそうなので 本日はここまで。おじさん 若い衆時代と太鼓台好きの一端を披露してしまって、いささか反省。でも 芸術家あるいは職人さんなどにオーダーした際、いい仕事をして貰うためには・・お金だけじゃないことを知ってもらいたくて書きました。

また色々と書き足し 子供に伝えておきたいこともあるので、後日 書かせていただきます。あんまりばらすと お叱りが来るかもしれませんので・・家族内非公表になるかもしれません・・陰に隠れてボチボチです。

何事も 秘すれば花

投稿者

おじさん

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