世界全体の造船シェアについての記事を久々に読んだ。以前から予想していた通り、中国と韓国の一騎討ちとなり、日本他ははじき出されている。今治などの「一杯船主」までもが国内発注をしないのだから日本の造船会社も厳しい。適正利益などの言葉はどこかでつぶやかれているだけなんだろうと想像している。
英調査会社のクラークソン・リサーチによると、6月の世界全体の新規造船発注量は前年同月比49%減の276万CGT(標準貨物船換算トン数、95隻)だった。うち、中国が71隻・220万CGT(80%)を受注して1位となり、韓国が10隻・38万CGT(14%)で続いた。
今年上半期の累計受注実績では、中国が428隻・1043万CGT(59%)で最も多く、韓国は114隻・516万CGT(29%)残りが日本他である。
世界経済の収縮から言えば・・ウクライナが終わるまでは このままと思っている。
おじさんも2年前まで造船設計の仕事をしていたが、現況を見れば廃業して子供に引き継ぐことを辞めて良かったと思っている。会社を休業としたが、当時 ゼロゼロ融資などを受けて無理やり継続しなかったことを いい判断であったと思っている。コロナ後の経済はスタートしているが、造船のような世界経済の動静に影響され易い部門では厳しい。
また最近のAIを見ていれば、船舶設計の仕事での人数は現業以上に縮小傾向と判断している。時代は変わって仕事量は激減しているので、子供自身が満足・納得出来る仕事をすればよい。
設計
生成系のAⅠが出てきているので、バルク船などは形状・システムなどはほとんどに似通っており、学習する元ネタが多いため、設計実作業全てを人が実行するかさえ疑問が出て来る。最低 パートごとあるいはユニットごとに組み合わせて最終確認のみを人が実施するようになると思う。
造船などでは多くの場合 枯れた技術が多く使われる。洋上で故障した場合 船員が対応するので、電気系統などでは 昔ながらのリレーシーケンスなどが使われている。リレーを1個1個確認・交換すれば修理可能だからである。従って電気・計装などの設計も最新ではない。
よほどの特殊船を除いて設計のやり方に変更が出てくると思えない。どんな時代にも競争は続くものと思っているが、AIが出てきたので 設計の進め方・出来の善し悪しの判断が、土台から変更されてしまう可能性が出て来たと思っている。
例えば おじさんが多く関わったLNG・LPGとて構造・配管・システムなどの多くの部分は似通ったものである。従って設計ではAIが大部分をこなしていくことが可能と思っている。経験上の話であるが、船体変形と配管変形などを考慮すれば、大体同じあるいは似た形に収束するのが常である。大体同じスペースに一定量の配管・設備などを嵌め込んで、人間が中で活動するのが前提なので変化は少ない。
タンカー・コンテナも同様であるが・・大型化に伴い排水配管などに勾配が取れないケースが多くなる。これも客船と同様に 汚水ポンプなどでポンプアップすれば対応出来る。従って補器・設備を足せば、基本的には同様である。設計は数隻を建造した後は大幅な変更も無くなるので、設計の仕事も減る方向かと思う。
どちらかと言えば現場で 鉄板の厚さと強度そして接合する溶接工などの技量に左右される。製造の際 発生する問題が大きいと個人的には見込んでいる。
また 公害対策の改善がエンジン区画での設備追加などの変化と使用燃料にある。現状で日本国内の三菱・三井などのメーカーでは対応できるエンジンあるいは補器類の試作などはほぼ完了している。後は太陽光・セイルなど よりエコロジーな事への挑戦しかなくなっている。