岩谷・川崎重工など褐炭利用による水素製造 そして低温水素移送に突き進むかに見えたが、ここに来てENEOS(エネオス)は製油所の石油精製装置において、水素キャリアであるメチルシクロヘキサン(MCH)から水素を取り出し利用する実証を開始している。石油精製の既存装置を使用しMCHから水素を取り出すのは、国内初の取り組みとなる。また水素製造は千代田化工も開発に乗り出し、昔からの関係でENEOSとも関係が深い。触媒・分離・回収と来れば、やはり・・・と言うメンバーシップ関係である。

水素サプライチェーンの構築に向けた要素技術の一つとして、実用化に向けた検証というか、静かに主導権争いが始まってる。

この記事 ネタ元は8月中旬にあったが、原稿を10月末に書いていてアップが延び延びになっていた。エネオスグループ 11月2日に一部実証実験成功とのニュースが上げられていた。時代は運搬について超低温タンクを用いない方向に動きそうである。先日エネオスグループと関係の深い郵船が、川崎重工にLPG&アンモニア船の発注を行うなど、次世代に向けて各企業が先を睨んで準備を始めた。

運搬と貯蔵

次世代として注目される水素だが、実用化に向けた課題の一つが運搬・貯蔵の低コスト化となる。過去から水素吸着金属などが言われていたが、大量に運搬するには船舶等に積み込むので気体か液体が望ましい。ところが気体と言うことで水素吸着金属も適すると思われたが、現状吸着は良いが再度水素単体に戻すのが難しい。現状手詰まりであった。エネオスは有機ハイドライド法を用いたMCHの活用を図る。これも 再度水素に戻す変換効率が悪ければ・・・ 水素吸着金属同様となる。

気体の水素をトルエンと触媒反応させて、容積が約500分の1のMCH(メチルシクロヘキサン)にすることで、貯蔵や輸送を容易にすることになる。MCHは常温常圧で安定した液体であり、化学物質としてのリスクも低く、安全かつ容易に水素の貯蔵や輸送が行いやすくなる。

川崎重工などの進める低温水素製造した場合、運搬過程は超低温(マイナス253℃)となり、体積は1/800になるが、タンクなどは極低温脆性にさらされる。従って高価な低温材料の使用そして水素脆化と戦うことになる。

メチルシクロヘキサン(MCH)であれば体積の減少は 1/500 とそれなりだが、従来の船舶であるタンカーでタンク材料などに高価な材料は必要ではない。物性から言えば 従前どおりで良いと思われる。

こういう点から水素サプライチェーン構築のブレークスルーとなる可能性が大きい。成否については未知であるが、何とか成功して欲しいとおじさんは願っている。

そうは問屋が卸さない

ガス屋さんなどが低温装置の運用をして来たので、低温に視野を絞ったような形となっていたが・・・石油屋も指をくわえて見ていない。既存の製油所の蒸留装置など改造にて大半が利用でき、且つ次の時代も主導権を維持できる。石油屋にとっては引っ込めないチャレンジである。失敗してもEフューエルへの道があるので気分的には楽と思われる。

おじさんこの辺りが日本の良い所だと思う。確かに企業一つ一つは世界的スケールになれないが、各所でこんなのありますと花の咲く様にアイデアが出て来る。正直このようなアイデアを利用・試すことが出来るのが良いと思う。「 そうは問屋が卸さない」 と競い合うことが互いを成長させる。

改めて 日本は次の時代も先頭グループで 人類に貢献出来たら素晴らしいと思う。

最後に僭越ながら、おじさん 危険物・高圧ガス甲種の免許持っておりますので、年寄りでも良ければ 水素サプライチェーン にて使っていただけます。なお ばあ様の介護がありますので・・・再度フルタイム仕事復帰までの気持ちはありません。適当なバイトなら お声を掛けて頂ければ歓迎ですので、よろしくお願いいたします。よく考えれば その時は70歳超えて・・・いないかも知れません。