経済成長の結果が みんなで分かち合うパイと考えた時 長期経済成長していないとされる日本のパイが大きくなっているかと考えれば疑問が湧いてしまう。製品・労働・サービスなどが積み上がりGDPが増加していく。ところが日本のやって来たことはと考えればGDPが伸びる訳ないと思えることしかやってきていない。
例えば電鉄会社を考えれば理解できる。自動券売機、自動改札などの省力化で人員が減る。また営業運転の自動化(無人化)など省力化は更に進む。そこに省力化によるメリットを人件費を削減された社員・駅員などに還元していれば、全員が経済的に豊かになる。消費生活を豊かにしていくために 増えたお金で飲食し、その他の職種・職業にも好循環をもたらす。また省力化により生じた余剰人員は適時整理し、新たな職業に就かせるあるいは停年退職者とするなどが考えられる。だがほとんどの人員はそのまま抱えられ 転職後の社員は スキルとジョブのミスマッチで、低賃金労働者となっていく。また労働者の一部を非正規職として低賃金で雇う。
ここで低賃金労働者化を防ぐことが大事であったが、現実は派遣労働が増え 益々低賃金となり、正社員の給料も上がらなくなった。
物価と賃金
日本での省力化は、日本での賃上げなどのストーリとはならなかった。おじさんは第一の原因は中国からの輸入が影響したと思っている。あるいは工場の海外移転によると考えている。
人件費の安い中国他から製品あるいは部品を輸入して 原材料コストを低下させたからと思っている。逆に中国は製品を製造し、余裕が出来れば中国国民に拡大していった。彼らが人民服からいつの間にかカラフルな服に変わっていった。
日本では余剰人員を抱えながらも昇給などがないため、終身雇用の幻想が生きるなか、社員を多く抱えながらも海外工場の利益などで 収支が取れて来たと思っている。
その間 中国が全体としては経済上台頭してくるものの 人口の多さと共産主義かと思うような都市戸籍と農村戸籍の経済格差があり、中国内部の賃金が大きく変動しないで緩やかだったことが原因と思っている。現在は新疆ウイグル自治区での人種・宗教などの差別まで加わって 大きく聞こえてきだした。
また日本企業は東南アジアなどに工場を移転し、生産を低賃金で行いより大きい利益の確保を計して来た。これによって安価な製品を販売することが出来た。物価は大きく変動することなく維持され、給料も上がらない状態が続いた。
ところがコロナに拠って経済的地図が書き変わろうとしだした。コロナと温暖化防止によって 中国などでの原料・燃料調達そして生産に問題が発生しだした。まだ需要変化が小さいので 大きくはコストに響いてないが徐々にその影響は出て来ると思われる。中国他が輸入している国でのコロナなどの状態が良くならなければ続くと思う。また同時に 停滞に伴う運転資金の変化が借入金返却不可となり、無暗な鬼城と呼ばれる住宅開発、内外における不採算投資などから金融危機が訪れる要素も大きい。
デジタルイノベーション
おじさんも設計業にも手を出していたので、早期にCADを導入してデジタルの先行組として生活して来た。CADが世に出る頃 殆んどの方は手書きであり、設計の仕事はデジタル化すると見込んだ。なけなしの退職金をつぎ込んでの設計業スタートであった。目論見(もくろみ)通り世の中は動いて、どうにか生活し 子供を育てた。
チョット考えると これは手書きからCADを使う業者に切り替わっただけで、設計と言う仕事の量が増加したものではない。ただ単に仕事が右から左に移る様に 業者間で売上・利益がシフトしたに過ぎないことが大半である。
日本に限らず 社会はデジタルによるイノベーションを求めてきた。それらが経済成長を牽引するような幻想を抱いている人も多い。デジタルイノベーションが生んだのは貧富の差の拡大である。コマーシャルイノベーションでも 売上の多くが広告などの媒体であるので、生産活動ではないので大きくGDPへ直接貢献することもない。あくまで商品が売れて「なんぼ」となる原点に変化がない。利益構造のシフトが発生しただけと思いだした。
社会が躍起になって求めているデジタルイノベーションが「富の移転」しか起こさず、結果として失業と格差の拡大しかもたらさないのだとすれば、みんなが頑張ってやってきたことはいったい何なのかと考えさせられる。
改めて 如何にすれば全体の所得が上がり、豊かになれるのか?所得は上がらなくて良いのかも疑問である。
おじさんが子供の頃体感した 池田首相による「所得倍増計画」などについても調べ、考えてみたいと思う。現在 調べるため 記事を色々読んでいるとヨーロッパも同じような傾向であると見えだした。
生活するにはお金が入って来るように 稼ぐことを努力すれば良い。そして生活に追われ 全体を見渡すこともなかった。おじさん 年金&バイト生活に入って貧しいが適当に暮らせるようになると 余計なことを考え出す。ここは流れるまま生きて何かを掴めたら面白いかと思いだした。