現在 世界の造船の受注は中国が4割 韓国が5割の状況となり、日本とヨーロッパで1割を分ける状況である。低価格船は中国 LNG、コンテナ船など高価格船は韓国が お互い国の援助もあり、一昨年より2割近い低価格で受注している状況である。まさに造船も激変の時代である。これでは日本の造船所が競争入札・受注することは難しい。
1970年代 ヨーロッパが4割近いところから1割にシェアが落ちた歴史に思い至る。どう進んで行くのか想像するだけで・・・怖くなる。おじさん 昔は仕事を色々外注して頂いたので、造船業でも多くの知己がいる。現在会社は廃業し、ガソリンスタンドのアルバイトと半ば引退している。結果 「現役の方々の奮励に期待している」としか申し上げようがない。
1970年代
おじさん15歳前後である。小学校時代に火災で校舎が消失し、校舎は鉄筋コンクリートに変わる。卒業式は窓が入っていない、おまけに床が下張り状態の体育館での 卒業式であった。
石油会社・電力会社・造船所が埋立地に進出が決まり工事が始まる。また地元の中学校が他校区と統合され新しい中学校が設立される。地元中学校の跡地に 造船会社の独身寮が建つことになる。他の工場も塩田埋立地に進出するなど、大きく身の廻わり・市内の様子が変化した時代であった。
現在 石油会社は時代と伴に合併吸収され、石油精製工場から配送基地に変わっている。工場で働く人の数も大幅減員となった。また造船所も 本年末頃 去就が決まるとの話も出ている。
バブル時代も変化が大きいと感じたが、それ以上に 小学校高学年から中学校の時代での変遷はより大きかった印象がある。
定年退職する時代に 再度激変する時代が来たように思う。今では現役プレヤーである知力・体力もないし、見るだけのバイプレヤーとなったと感じている。
時代に掉さす
中韓の造船ドックは建設されて新しいものであり、縦横の大きさもさることながら深さも浅い。大型のガントリークレーンを備え、船のサイズによっては同時に4船程度の建造が出来る。日本で匹敵するのは今治造船西条工場あるいは丸亀工場新ドックあたりかと思う。建設年代が新しいものでなければこのような効率的なドックは作れない。付属するブロック工場など一貫生産するための工作機械類類もそれに準じて設置されている。ブロックを大型化して効率的な生産を行う。
日本政府は韓国などの政府補助について WTOに提訴したが、会議に出席しないなどサポタージュを繰り返し話が進まない。やはりアメリカが中国にしたように強権的に話を進めないと相手の誠意に期待しても無駄と思える。時間が経てば 確実に日本の造船業は潰れてしまう。なお現在の日本政府のやってる補助事業は船舶の発注者向けである。中韓と違い直接的な救済ではなく「隔靴搔痒」と言うようなものである。国際ルールを守りながら、ルール破りを正すようで・・日本政府 品が良すぎてどうにもならない。
シェアが1割という状況になると、製作期間が長期に及ぶ製品なので各所で「澱み」が発生するかと思う。「時代に掉さす」に近く 大変な会社経営が求められる事態と思う。先日 千葉市原市に転勤した後輩の言葉によれば、「私が赴任する1月前に三井造船千葉造船所は最後の船を引き渡したそうです・・・人員整理後の為 人員が足らず、引渡式典は岡山他各地から造船マンが動員されたようです。」と聞いた。どの仕事も同じですが、一度歯車が狂うと相当の覚悟で臨まなければならない。どう再構築するか・・・政府が腰を入れて助けないと、再構築しきれない可能性が高いと思う。
造船も車など同様 裾野が広い産業である。このまま急速に日本で造船業が凋落すれば、瀬戸内地方には失業者が溢れるかも知れない。
逆に韓国の状況も多量受注後、原油価格上昇などに伴う公共料金値上げなどインフレ懸念が広がっている。政府によるコロナ対策である経済の緩和が過ぎたのかも知れない。引き渡しまで紆余曲折があるかもしれない。インフレによる資材価格・人件費が高騰すれば、何をやっているのか判らない。しかし・・・なりふり構ない受注をしたので、責任は取って頂く必要はある。
中韓と言う適正な競争を行えない国々とのシェア争い、「三方一両損」が見えるようで良いものではない。基本的に資本主義の中には「座っている椅子の足を削りながら、椅子の足が壊れたら負け」と言う要素が入っている。これ以上は削ってはダメなところで休止できれば良いが、人間早々賢くない。おじさんの普段と同じ「やってしまいました」で終わってしまう可能性が高い。