江戸前は背開き、酒を多く入れた煮汁で焚き 柔らかく煮あげる。これを寿司ネタにしている。
大阪は腹開き どちらかと言えばウナギ同様 かば焼きにして押し寿司ネタとしている。
おじさんはどちらも好き・・・美味しければ 節操のないタイプである。
■アナゴの刺身
おじさんが初めてアナゴの生刺身を食べたのは、徳島の伊勢海老漁師さんと知り合ってからである。
この漁師さん 正月に合わせて伊勢海老を素潜りで取る。
禁漁期は普通の漁師同様、一本釣りなどもして、民宿を営む奥さんに魚などを供給していた。
市場に出さないので 適当に取って船の生け簀にて活魚していた。
この漁師さんに連れられて 水深5m程の箇所で素潜り、手づかみでアナゴを取るのを見せられた。
一気に潜り アナゴを片手に3匹持って上がって来た。
船の上で このアナゴを捌き、刺身にしてくれた。コリコリと弾力があり、噛むごとに良くなる。
白焼きのアナゴと比べると・・噛むことが逆方向のため 比べ物にならず。絶品であった。
■江戸前寿司
寿司の大食いバトル番組でアナゴの寿司を見た。これに登場した寿司 「お女郎すし」と呼ばれる形であった。
ネタの形が お女郎さんの如く裾を長くした着物になぞらえた命名であるらしい。江戸吉原で喜ばれたことが語源との説もある。
大ネタと称するのは殆んどこの類である。
おじさんが若い頃は 寿司屋で寿司のネタだけを先に肴として食べ、最後にシャリのみを食べるような爺さんがいた。この辺りから発生したかもしれない。
同じような爺さんは蕎麦屋にもいました。
昔は寿司折に入れて持ち帰るので 大ネタは到底出来る形ではない。
時代と共に 食べ方が変わった結果と思うが、寿司はシャリとネタのバランスと思うおじさんには 寂しくもある。
おじさん貧乏なため 最近は食べても 回転すし。まあ 仕方ないと納得はしている。
ここでも少し変わったのを感じている。アナゴも昔と少し変わった。
2貫付&ツメまでは良いのだけれど、アナゴを「身おもて」「背おもて」に握り分けていないのが大半である。
食感を楽しむということがなくなったか 溶け崩れる感覚を求めた結果かとも思う。
そう言えば寿司を「つまむ」ことも無くなり箸を使う方が大半である。
まあ 嘆いても仕方ない事 それなりのところに行けない貧乏なおじさんが主原因である。
■大阪寿司
大阪にも江戸前風があるが、大阪のアナゴ寿司とくれば「押し寿司」と思う。
かば焼きに近いが薄味のアナゴを寿司にする。鯖ほど押さえないものが良い。
身のふわふわ加減を失わないような押し加減が 好きである。
最近は大物が少ないためか、刻みものが乗っていることがある。その時は・・・残念である。
■天ぷら
天ぷらは やはりカウンターが良い。アナゴの天ぷら 酒のつまみに丁度良い。
揚げたて油キリしたものを 前の盛り皿に乗せ、返す刀と言うか・・・金属製の揚げ箸で真ん中をさっくり切ってくれる。
それを更に自分の箸で一口大に切り、塩で頂く。至福の時である。
婦女子のようにレモンなんぞはいらない。味が鈍る。
「インスタ映え」何ぞくそくらえ! 素材の味が一番である。