12月3日(金)今治造船が電気運搬船「Power ARK」のプロトタイプを 株式会社パワーエックスと共同開発とのニュースが流れた。おじさん電力の運搬 つまりエネルギー輸送について、バッテリー使用などについては懐疑的である。バッテリーには充放電効率 (クーロン効率)があり無駄が大きいと思って来たので、電気分解により生じた水素の形で流通・運用させると想定していた。何か効率的な手段があるのだろうか?
また洋上風力発電は風車のON・OFFに伴い出力が変動するため、単純に電気として貯めることも難しい。バッテリーは充電しても自然放電で折角貯めた電気が減ってしまう。
電力貯蔵には超電導利用などもあるが、洋上風車の発電機では出力並びに電圧が低すぎと思っている。
効率よく利用出来 且つ電気の移動方法が確立しないといけない。基本的に風力発電は低周波騒音を発生することがついて廻るので、人・家畜との距離を十分取れる洋上に置くのが良いので、今回の発表は歓迎すべき話と思っている。海中に電力ケーブルを長距離敷設するのは高価であり耐久性に難がある。
どんな形そしてシステムなのか興味津々であるが、まだ詳細は公表されていない。言い方は悪いが抜け目なく造船業界で伸びてトップになった今治造船が、出資してチャレンジするのであるから それなりの目算があるかと思っている。おじさんはエネオス・千代田化工の進めている水素流通システムと思っていたが、道は何本もあるのかもしれない。
気になることであるが、 船舶の面から見ればどうやって船舶の位置を固定するのか心配になる。石油掘削用リグ船では 深海の場合スラスタで位置を制御固定するがその消費電力は半端ない。 船舶の往復の電力消費と固定用消費電力の合計がどれほどになるか気に掛かる。場合によっては風車による発電量の多くを使用してしまう。その為 メガフロートのような補助的係留設備を設けるのかも現状では不明である。
また発表されている想像図ではトリマラン船型であり、用途・スピードからは疑問符の付く船型であり気に掛かる。先ずは 夢の第一歩と言う事で見守りたいと思う。
バッテリー
リチウムバッテリーの様に充電出来る電池は、充電するにも放電するにもエネルギーロスが発生する。100充電しても100バッテリーに貯まる訳ではなくて、バッテリーの内部抵抗等のロスで95%前後しかバッテリーに貯まり取り出せない。
その効率の計算式は、
充放電効率 (クーロン効率)= 放電容量 / 充電電気量 × 100
一般的に、リチウムで95%、鉛で85%、ニッケル水素電池で90%と言われている。効率の良いリチウムでも毎回5%前後は充電出来ていない事になると考えて良い。
超電導
電気をそのままという形で高効率とすれば、おじさん門外漢でもあるので、超電導コイルしか想定出来ない。超電導技術は,電気抵抗がゼロとなる現象を利用して,高電流密度化を図り,通常の電気機器に比べ,大出力,大容量,高効率化を実現するものである。
電力貯蔵への応用では一例として,SMES(Superconducting Magnetic Energy Storage)と呼ばれる貯蔵法が挙げられる。
これについては 瞬時電圧低下補償用SMES 金属系超電導体(Nb-Ti合金など)を用いたSMESは既に実用化が進んでいる。中部電力・東芝にて商用化されている。
電池のように化学反応を利用した電力貯蔵では 急速な充放電は難しく,繰り返し充放電には回数の制約などがあるのでブレークスルーするのはどちらか、それとも他の方式か・・・技術大好きOB(老人)としては、楽しく世の流れを見ている。