おじさんが子供の頃は「大きいことはいいことだ!」と言うのをキャッチフレーズにものが大型化していった。次は多くのものが小型化されて行く時代に変わる。
どうもおじさんの世代は 日本の躍進と停滞そして落ち着いていくのを見ている。大英帝国と並べる迄はいかないが今も、イギリスは世界に冠たる国家として生きている。従っておじさんは日本も「落ち着いて」くれることを望んでいる。
ラジカセ
例えばラジカセと言うものがあった。ラジオとカセットレコーダーが合体して、深夜放送の音楽を録音したりしながら楽しんでいた。これがどんどん大きくなり最終的にはレコードをかけるまで大きく成長した。その当時の小型コンポーネントステレオを一列に並べるとサイズがほぼ同一になった。従って移動させるときは肩に担いで移動するという完全にコンパクトさを失くした。またバカ・バカしくもそこまでやってしまったことに 今では感動を覚える。
次に出ていたのがウオークマンである。ポケットに入るのが売りのようなものであり、電車の中などで聴いてみたが・・・隣人たちのヘッドホンからモレ出て来る「シャカシャカ」音に気付き、おじさんは購入を止めた。
この次がMP3プレヤーなどが出て来ると同時に小型化していく。その後は 曲の配信などから携帯などに一元化されていく。携帯電話もショルダーホンから手の中に納まるサイズになった。
この頃から日本の白物家電は競争力を失っていく。ラジカセ発達が見せた「バカらしさ」をメーカーは失ってしまったのか?あの馬鹿らしくも 真直ぐ挑戦するパワーが日本では無くなってしまったように思う。
鉄鋼
9月29日、日本製鉄の瀬戸内製鉄所呉地区(広島県)の高炉2基が閉鎖した。鉄鋼事業の採算悪化から2020年3月期決算で4315億円と過去最大の赤字を計上した日本製鉄は、いま日本各地の製鉄所の閉鎖や工場のラインの休止といった大規模なリストラが進められている。
脇で見ていてこれからの高炉は環境問題にとってはネックとなる。発生するCO2などを減らして製品を作らないといけないので、先進国での運営は難しくなる。酸化鉄の還元反応を現状のコークス以外としなければ成らず・・・ CO2 の許される途上国に移転するか 転炉などで屑鉄の使用を増やすなどしかない。
昨年6月に2基のうち1基がバンキング(一時休止)していた旧君津製鉄所(千葉県)は、昨年11月に鉄鋼需要の回復で再稼働したが、数カ所の工場のラインの休止は決まっている。21年度の決算は純益で3700億円と過去最高益が予想されているというV字回復を見込んでいる。
背景に製鉄所の閉鎖、工場の休止といった人員対策、合理化の効果が大きいことはいうまでもない。「鉄は国家なり」と言われながら基幹をなした企業が縮小されていく。長い時間を掛けて研究した製品を世に出すことなく埋もれていく。
おじさんが学生の頃 USスチールが整理されていったのと同じようで・・・改めて歴史が繰り返されていると思う。おじさんが新入社員だった頃は 大手町の一角に新日鉄のビルがあったが、2010年には石油関係会社に代わる。新日鉄がテナント入居になった印象に残る出来事であり、時代の潮流の一端を日本でも見た。
おじさんは 石油会社がまだ伸びている最中 会社にララバイした。この歳が来てサラリーマン時代の同期と話して、自由に人生を歩めたことについては 嬉しく問題ないが・・・年金がいささか少ないのと退職金については・・・仕方ないかと思っている。足し引きすればそれなりと納得している。
なお USスチール は現在も元気に活動してしている。デトロイトから場所を変え生き残っている。
諸兄に問いたい イギリス企業は滅びたのか?アメリカ企業は滅びたのか?彼らと違う新たな道があると思う。それ故 社会の中心で働いている30から40代の中核が、新たな道を見つけられることを期待している。自らの将来と子供の将来を切り開く覚悟でお願いしたい。