次代の燃料はと聞かれれば水素という方が多いと思う。水素は非常に軽い気体であり周期表の最初に書かれる。空気と水素の爆発濃度範囲は、空気中では4.0~75%である。従って爆発しやすいので取扱いには注意が必要である。無色無臭で 日常生活の室内で水素濃度が4.0%以上にすることは容易ではありませんが、貯蔵容器から漏れ出た際に周囲の空気と混合していく過程では・・・?爆発範囲に入る可能性は高い。

水素の爆発で有名なのは ドイツのツェッペリン伯による飛行船ヒンデンブルク号です。アメリカとドイツの関係悪化でヘリウムと出来ず、危険承知で運用され 着陸時火災を起こし墜落しました。

因みにガス爆発で新聞に登場するガスの爆発濃度範囲は 都市ガス13A 4.6-14.6% プロパン 2.2-9.5%です。

貯蔵

水素の貯蔵は高圧ガス取締法により赤く塗られた継ぎ目なし容器に入れ保管運搬される。圧力は常用の温度又は35℃で圧力1MPa以上とされる。

より安全に保管・移動するため各種形態が考えられていますが、高圧貯蔵以外は 貯蔵は良いが取り出しにくい状態で立ち止まり、あるいは開発中なのが現実です。①水素吸蔵金属 ②水素溶解物質 ③有機ハイドライドなどがあります。低温貯蔵も技術の実験段階と実用段階の間です。

有機ハイドライドは比較的良好のようですが、白金触媒などを使わないといけないので、触媒が高価過ぎて現状研究段階に留まっています。その為 先日のブログで 水素の貯蔵・持ち運びにはアルカリ金属(リチウム、ナトリウムなど)を挙げました。これからのブレークスルーを待ちたいのが現状です。

水素の取り扱いの難しさは水素原子の小ささに起因する。水素は容器の金属など本体に浸み込むように入り込み 取扱温度と圧力により鋼などは水素脆性を起こし、侵入された金属は壊れやすくなる。

高温でも危険であるが低温となれば-253℃となるため 船舶その他のタンク材料はオーステナイト系ステンレスなどを使用する。製油所では直接脱硫装置で 水素と重油の混合物が高温高圧となるため装置の定期検査は入念であった。それでもトラブルは起き、装置の緊急停止などした。

トヨタの燃料電池車両 ミライは従来通りの高圧タンク2本で各々 約122L 70MPsとなっている。このタンクは、高分子材料(樹脂)製の本体部と外側を補強するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製のアウター部など、軽量化を計る等努力を重ねている。

危険との戦い

プロメテウスの火をご存じであろうか? ゼウスによって火を取り上げられ、自然界の猛威や寒さに怯える人類をプロメテウスが哀れんだ。プロメテウスは火があれば、暖をとることもでき、調理も出来ると考え、ヘーパイストスの作業場の炉の中にオオウイキョウを入れて点火し、それを地上に持って来て人類に「火」を渡した。人類は火を基盤とした文明や技術など多くの恩恵を受けたが、同時にゼウスの予言通り、その火を使って武器を作り戦争を始めるに至った。後日譚は「パンドラの神話」となっていく。

水素と酸素は化合して単純に水となるとCMされており 人がどう思っているのか関心がある。その過程には多くの英知が エネルギーの安全を確保して使えていることも伝えておきたい。無論 先人に感謝すべきことも伝えたい。

昨年末からオーストラリアにて 褐炭による水素製造プラントが動き出した。川崎重工の水素運搬船の建造あるいは水素発電プラントも順調に進んでいるのかも気になる。

地球にやさしく 水素をより安全に使う時代が来るのであろうか? またその頃 おじさん「しぶとく」好き勝手なことを言っているだろうか? まあ本音は庶民なので 後半が主目標の爺さんです。

投稿者

おじさん

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