日本の造船は益々厳しくなる気配である。中国が過去の成功体験同様・・毎度のワンパターン行動をしているからである。自国の農民工の安価な労働力を使い、過剰生産で安売りしてる中華鋼板を使われては・・他国の価格競争力では対抗など出来ない。ソーラーパネルなどと同様の事態が造船業界で起きている。これじゃ 日・韓は対抗することが出来ないのは当たり前と思っている。

 中国工業情報化省が1月15日に発表したデータによれば、中国の造船会社が2023年に受注した新造船は載貨重量トン数ベースで7120万トンに達し、前年比56.4%増加。世界全体の新造船受注量の3分の2を獲得したとされる。

 こうした中国の躍進により、市場シェアを落としたのが韓国と日本である。イギリスの海事情報会社、クラークソンズ・リサーチのデータによれば、2023年の世界の新造船受注量(標準貨物船換算トン数ベース)に占める韓国のシェアは24%、日本は11%だった。前年の受注シェアとの比較では、中国が約9ポイント伸ばしたのに対して、韓国は約8ポイント、日本は約1ポイントそれぞれ縮小した。

 しかし グリーン旋風が船舶世界にも吹いているから、世界の新造船発注は伸びている。それ故 韓国と日本の造船所が作る船がなくて困っているわけでもない。2023年は世界の船主の新造船発注が盛んだった一方、韓国と日本の生産能力はすでに飽和状態になっている。韓国の主要造船会社では、新規に受注した船舶の竣工は2027年以降になる見通しとの報道もある。中国でも2023年後半には 造船所のキャパシティが不足し、長年使われていなかった余剰ドックも再使用し出したというが・・日中での合弁会社 揚子三井などはドックを建設せず、「平地造船」から始めることが出来るほどのスペースがある。中国では 基本土地は国有であり、日本などでは常識である最初のドック建造から省略できる。

 おじさんが現役時代は中国でブロックを作り、日本・韓国国内ではブロックの組み立てを中国人溶接工を使うことが多かった。価格競争から 中国の関知する範囲は、2023年の世界の新造船受注量(標準貨物船換算トン数ベース)以上に 中国の影響は更に大きいと思われる。

 同じく工業情報化省のデータによれば、世界の造船企業ランキング上位10社の顔ぶれのうち、新造船の受注量ベースで7社、竣工量ベースで5社が中国企業だった。

 また 船舶の用途別に見ると、2023年の新造船受注量のトップに立ったものは、自動車運搬船の受注シェアは82.7%、ばら積み貨物船は同79.6%、石油タンカーは同72.1%、コンテナ船は同47.8%に上った。 これから 特筆すべきは メタノール・アンモニア燃料などに対応した(二酸化炭素(CO2)の排出量を抑える)の新造船受注量において、2023年の中国の世界シェアが57%に達したことだ。それらの竣工と引き渡しが進めば、世界で運航されるニューカマー船の半分以上が中国製になる。

 ここで注目したいのは同型船の隻数である。中国LNG船シリーズで10隻以上受注しているようであり、コストカット効果は大きい。そしてドックは新しく、浅く大きいので同時建造などで更にコスト低減が可能となる。新造船ラッシュが一段落すれば、現在の受注比率で隻数も決まるだろうから、将来の受注割合が減るとも想定される。日・韓は 中々悩ましい状態である。

技術だけでは 絶対勝てない壁がある

投稿者

おじさん

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です