昨日 孫の揃い踏みと書いている最中、歌舞伎の白波五人男を連想してしまった。勢ぞろいと聞いて思い浮かぶのが、農村歌舞伎あるいはチビッ子歌舞伎での傘をさしての定番風景である。
白浪五人男とは、日本駄右衛門(にっぽんだえもん)、忠信利平(ただのぶりへい)、南郷力丸(なんごうりきまる)、赤星十三郎(あかぼしじゅうざぶろう)、弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)の5人組の盗賊のことです。
各々が啖呵(たんか)を切るの最初の一節と言うか口上がおじさん好きである。さらに有名なのは弁天小僧の啖呵の「知らざあ言って聞かせやしょう」であり・・当然昔から好きである。その前のセリフと言うか「枕」はどこかで聞いたことがあると言うものばかりである。
日本駄右衛門 : 問われて名乗るもおこがましいが・・
弁天小僧 : さて其の次は江の島の・・・
忠信利平 : 続いて次に控えしは・・・
赤星十三郎 : 又その次に連なるは・・・
南郷力丸 : さてどんじりに控えしは・・・
「次に」と単純に繋がず・・これがまた良い。
こんな言い回し変化こそが文化であり、日本語を表しているように感じる。これを上手く使えることが、日常でのコミニケーションを円滑にする一助と思っている。若い世代が変わっていく時代であるので どこまで持つか?と思いながらも味わう。
なお 原作は「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」という河竹黙阿弥の歌舞伎作品で、白浪五人男と名奉行青砥藤綱の攻防を描きます。
歌舞伎にしろ講釈・落語にしろ伝統芸は 現在の娯楽TV代わりのようなものでしたので、今日はここまでと言うような仕立て・ダイジェストが多いのも仕方がないことです。そんなことを分かっていればこそ 何度も何度も劇場に通うのかと思います。
弁天小僧
やはり有名どころと言うかお家芸・当たり役とされたのが尾上菊五郎となる。でもやっぱり75歳では無理があります。アイキャッチ画像に使いましたが・・色気・艶が足りないのは致し方なし。
おじさん若い頃 この啖呵(たんか)を覚えてしまいましたが・・今では立て板に水とはいかず 怪しい。
では 啖呵!
知らざあ言って聞かせやしょう 浜の真砂と五右衛門が 歌に残した盗人(ぬすっと)の 種は尽きねぇ七里ヶ浜 その白浪の夜働き 以前を言やぁ江ノ島で 年季勤めの児ヶ淵(ちごがふち) 百味講(ひゃくみ)で散らす蒔銭(まきせん)を 当てに小皿の一文子(いちもんこ) 百が二百と賽銭の くすね銭せぇだんだんに 悪事はのぼる 上の宮(かみのみや) 岩本院で講中の 枕捜しも度重なり お手長講と札付きに とうとう島を追い出され それから若衆(わかしゅ)の美人局(つつもたせ) ここやかしこの寺島で 小耳に聞いた祖父(じい)さんの 似ぬ声色(こわいろ)で 小ゆすりかたり 名せぇ由縁(ゆかり)の 弁天小僧菊之助たぁ 俺がことだ
たまには丸暗記して 五七調を楽しむのも秋の夜長を楽しめると思います。地名も入れて シャレで回していますので・・無粋に現代語訳しなくても雰囲気で楽しむのが一番です!