昨日 NHK「解体キングダム」にて電力超高圧ラインの鉄塔をやり替える番組を見た。鉄塔高所での碍子(がいし)と高圧線接続作業はリーダーが40代と納得できたが・・富山からの出稼ぎ状態と分かり、家族を持つ身には厳しい高所仕事である。また後編の鉄塔の解体は平均年齢65歳前後、社長は74歳・・となっていた。
普通は深い山々の中で電力送電ラインは走っている。取材場所は町の近郊での現場なので・・実態はこれ以上に厳しいと想像出来た。仕事の過酷さでは、季節も大きい要因であるとも想像出来る。
高度成長期に整備された電力送電ラインが寿命を迎え、更新・拡大を予定している。平成から所謂3K・5Kと言われた職場では、働く若い方が少なくなった。そんなキツイ仕事をすれば 先日から言われる闇バイトなどしなくても生きていけるのだが・・そんな3K・5K仕事には人が集まらないのが現実である。エライ方が自然エネルギーに対応する送電網を建設すると言っても、現場が高齢化してはどうにもならない。実現・実行不能である。
おじさんが辞めた造船関係も同じである。現場は下請けをはじめ何処もそれなりの年齢層と外国人労働者に助けられている。ところが 設計部門は造船会社社内は派遣の若者が多く、下請けは年寄りだらけである。
しばらく前に言われていたのが、材料の鉄などは高いが・・円安で受注殺到。ぼろもうけのはずが、現場でも職人と呼べる技量のある方々は ほとんどが70代前後。あとは何かあればすぐ辞める20代の素人あがり・・そして 何も出来ないのか?何もしない中高年。
現状のままではいけない。中小企業に金を流して職人さんを若返りさせないと、技術の伝承も無くなり・・日本は潰れるかも?と思える。それを避けるには職人仕事を排除する工具・金具等を開発して、職人に技術の伝承をしなくても良い様にするかである。
振り替えれば平成という時代は 昭和の成功体験のままに過ごせば良いと考えたのか?変化しようとしなかった方が多い時代で合ったように思う。
人は変わっていくことを恐れてはいけない。変わらぬまま同じ営みを繰り返すだけでは期待以上の成果は上がらない。令和が来てそれが如実に現れ出したようである。AIによる産業革命時代の如き変化が、過去よりも短時間で訪れるようである。先行きの不安は 恐れることなく自身を変えることから潰していくしかないようである。
長期定形化
おじさんが石油系エンジニアリング会社にいた若い頃 タンク・配管などのペンキ塗り現場を監督業務などしていた。その際 ペンキ屋さんの最若手がおじさんより2歳年上であった。「俺 入って10年ちょい。今でも下が入って来ないので お茶くみ。」と言っていた。仕事も人間も信頼できるので、自宅のペンキ塗りなども無理をお願いしてやって頂いていたのでほぼ40年近い付き合いになる。
会社を辞める頃 偶然会ったので、最近どう?と聞いたら 若い子は入ったのだけど・・朝迎えに行って起こして連れて行かないといけない。慣れたら慣れたで現場でとび職の同級生に誘われて・・汚れないからととび職に転向していく。やっててアホらしいとのことでボヤいてた。
その頃も予算作成で工事費などの見積・積算をやっていたのだが、職人の手間賃は20年近くほとんど変わっていなかった。これじゃ とび職などの若いうちにお金を稼げる単価の高い仕事に変わっていくのも分かり納得した。
そんな経験があるので、NHK「解体キングダム」の光景は 雇用状態を継続したまま平成時代を推移したようであった。
これでは数年で日本のインフラを支える労働者の層は 高齢化し薄くなって行くのが分かり、日本が再生不能になる兆候ではと思った。ここにも造船同様 外国人労働者が入り変わっていくのかもしれないが、先行きが心配なことである。