現代ビジネスの記事で「物価は上がるが賃金は上がらないという、かつてない事態が起こる」との記事を読みながら、「鶏が先か卵が先か」と思ってしまった。おじさん自身が子供の頃から高校生そしてバブルに至る時代を思い出すと「そんな時代 あったよ」としか思わない。

途中でオイルショックもあり、おまけに子供の頃から前代未聞のバブルと「20歳前後で地価が下がるとは神武以来なかった」とバブル崩壊、それまでの常識が崩れ去るのを見て来た。

高校生の頃 物価は上がり賃金が上がらない状況には姉が出くわした・・そのうち何とかなるだろうと植木等の「だまって俺について来い(1964)」と同様みんなが「ないこと」を楽しんでいた時代があった。

姉の初任給 1万そこそこが、翌年の給料では2万円を超えていた。企業も社員が飯を食えないようなら何とかするものである。台風の如き賃上げがあった。

原価

野口 悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)が書かれた文書のようなので、どうも同じ時代を生きた方とは思う。10歳ほど上なのだが、文書を読み進める内に、見解が相違していることが分かる。感性が違うんだと思ってしまった。野口氏は安全なところから見て評論すればよい立場で暮らして来たからと思われた。

経営者としてリスクを取りながらどうするかの判断をされたことがないようである。原価は製品を作った後から付いて来るとお考えにならないようである。

商売として成立できるためには、製品原価に運送費・人件費・管理費など販売経費を乗せた後が販売価格である。そうでなければ継続的に商売が出来ない。流通側から見れば販売価格は客が購買したい価格である。全ての商品価格は多元的に決まるのことを忘れてはいけないと思っている。

お金の回転だけでは持続的に商売が出来ないのが原則である。

当たり前があることを忘れて 数字で世の中を渡って行ける身分が羨ましいとさえ思った。寄稿文の中で「企業は原材料価格の高騰を完全には転嫁できないので、賃金を上げることができない。このため、「物価が上がるが、賃金は上がらない」という厳しい状態になる。日銀が金融緩和を転換してくれれば状況は緩和されるが、日銀は動かない。」と読んで、彼が「鶏が先か卵が先か」をお判りでないと思った。机上の話としか思えなかった。

おじさんも弱小会社の経営者であったので、センス的には商売の継続と社員を含む組織の維持を目指す。それもかなわない場合は優先順位を考える。継続不可能なら社員を含む組織の維持を辞める。

つまりリストラにて少人数化して 社員一人一人の労働負荷を上げ、人件費分配を上げて仕事の継続を図る。もちろん商品の値上げが可能であれば、先ずは値上げをして、あるいは材料の量を減らすなど原価低減などに努める。人件費をケチれば いい人が来ない。

大手も同じである。スタッフとなった40歳後半から役職定年の55歳過ぎまでをリストラの対象とする。ラインの人事は維持・強化を考える。スタッフとしても仕事に期待できず、定年まで残られては退職金をはじめ、退職までの賃金を考えれば過大になる。有能・無能の如く2元的に、いい人の仕訳を進める。

申し訳ないが経営者は 人件費を上げるためにリストラし、残した多くの社員の面倒を見ることを優先する。実際に金を稼いで来る人間を大切にする。

違和感

物事に感覚的に引っかかることが大事と思うと同時に、感覚的に過ぎると間違うと思っている。

人は呪縛に縛られるものであり、自由と思いながら どこかで引っ掛かって錯誤するものである。そんな違和感を感じる時は、原則に帰ることをお勧めする。

例えば 金儲けネタがあり、人知れず一定の収入が確実に得られるなら、誰にも内緒で金を借りても黙って仕事をするのが常識である。儲け話があると人に持ちかけるのは、自分に利益が流れ込んでくると見込める場合である。それが人の世の常である。

また 数年前から大手でもリストラが始まり(既に始まっている会社も多いと思うが・)、賃金負担を下げようとしている。賃金の高い層を除ければ、賃金の少ない層で5%程度上げても平均賃金は下がると見込まれる。従って賃上げは リストラから始まる。

経営者からすれば 給料が高くリストラしなければ、将来の負担が大きくなる。現在割り増しを払っても、将来乗り切れると思っているからである。

そう考えていくと、ある程度リストラをしている会社ほど、社員の賃上げしていかなければ、良い社員が集まらない。そんな会社ほど 悪循環に陥る前に準備している会社であり、おじさんなどはそんな経営者と会社を信頼出来ると思っている。

なお ブラック企業であっても同様に見えるので、注意が必要である。

投稿者

おじさん

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です