昔と比べて多少マシになったと思うが、実体の見方の変化は進んでいない様に思う。相も変わらず誤報と言うかデマのようなことに流されながら、環境に配慮した文化人面で喧伝しているように思う。総合的分析が足りない。
おじさんも燃料業界を離れて25年以上になりますが、石油精製から自家発電プラント・備蓄基地の建設まで関わりました。もちろん造船業界でもLNG船などの設計に関わりましたので、それなりにハードウエアは理解して動かした経験もあります。従って机上の空論的なことは書く気がありませんこと先にお断りしておきます。
再生可能エネルギーの扱いは 現在のマスコミの考えで進めてはいけないと思っています。
ヨーロッパの再生可能エネルギー
一昨日 羽鳥慎一モーニングショーを見て、ヨーロッパにおける再生可能エネルギーについて話を出していた。その紹介の仕方に呆れた。ドイツとデンマークを表にして再生可能エネルギー比率が半分と先進性を評価していたのであるが・・・フランスを出してこない。フランスの比率は原発が70%近いことを隠して論理と評価を組み立てている。実際にフランスとドイツなどEU諸国の送電設備は繋がっている。相互に電力融通が利くのでドイツ・デンマークの高い再生可能エネルギー比率を実現できる。
日本でやろうとすれば 全体の電力周波数をリードしていけるような発電所が必要となる。小さい発電所をいくら組込でもステップ状のインバーター制御でしかないので全体の電力周波数をコントロール出来ない。従って不安定な電源となる。 再生可能エネルギーの増加は戦略的に行わないと電力の質を落とす。
ヨーロッパで転換が出来ていると見えるのは、フランスの原発があるからである。日本で目指すべき再生可能エネルギーの姿を示すのはEU全体像が適正と思うが、全体を見いないで騙されるバカも多いだろうと思う。
さらに言えば中国での太陽光パネルの安価生産による影響も大きい。多くのパネルが作られているのは差別が話題となっているウイグル自治区などである。これも突っ込めば更なる汚点が出て来る。
天然ガス高騰
今回の天然ガス高騰の原因の一つは、ヨーロッパでの気候変動によることが考えられている。2020年の冬 冷え込みが激しくヨーロッパは天然ガス在庫が落ちていた。そこにそ2021年夏の天候不順で自慢の再生可能エネルギーでの発電量は下がり、発電などで天然ガス在庫がさらに落ちている。2021年の冬はアジアも加わり、東西全体で冬の冷え込みが厳しいと見込まれている。
従って 欧州・中国などで争奪戦が繰り広げられ、天然ガス価格が歴史的な高騰を続けている。指標価格のオランダTTFは10月6日、1メガワット時当たり150ユーロを超えるなど、2021年初頭の20ユーロから大幅上昇、連日のように最高値の更新を続けている。
TTFの高騰に伴い、欧州の天然ガス価格に連動した動きを見せる極東アジアLNG(液化天然ガス)のスポット(随時契約)価格も上昇。9月末には過去最高値となる100万BTU(英国熱量単位)当たり34.47ドルを付けている。
そしてタンカーなどの傭船料も上がり・・・後は雪だるまのようになる。
日本は多くがアメリカなどとの長期契約が多いが、スポット購入については影響が大きい。幸いにも日本のLNG備蓄量は現状多い状態である。コロナに拠り アメリカ産の輸入の際パナマ運河の渋滞が発生したことが幸いした。それに数日前 通産省が需要期を前に音頭を取り、業界間の協力体制に言及してまとめたようである。これにて暖房用灯油、自動車燃料の価格が残された日本のテーマとなった。なにかと批判を受ける政府と官僚であるが、それなりに頑張ってくれていることを知るべきである。
世界の景気は 夏の需要期を過ぎて、天然ガス価格やLNG価格は低下する時期に景気回復すれば良かったがそうならなかった。特にアジア諸国の天然ガス需要が増加しており、欧州とアジア諸国との間でLNG争奪戦が展開されている。
ヨーロッパもロシアとのぶつかりもあり一筋縄な時代ではない。本当に日本のメディアはお目出度い。賛成な評論家を連れて来て・・・適当な放送をしているとしか思えない。
また総合的に俯瞰する力が乏しいと思うのは、情報をマネージメント的に扱う人材の不足と思われる。現場の取材記事はそれなりに出て来るが、まとめるところでダメである。
最後にジイの心配として 毎年孫にイチゴを送るのだが、この原油高で温室加温用の灯油などが大きく上がり、イチゴの値段高騰を心配している。原油高騰は現在バレル80ドル以上であり、国際機関の予想では 長期的には70ドル台が数年続くと予想されている。中々 厳しい時代の到来を予感させる日々が続く。せめて12月末までは暖冬を!と祈念している小市民なおじさんです。