潮流発電についておじさんは全体では懐疑的である。学生時代を含め 発電方法について検討したグループを組んでいたことがあり、発電機を繋ぐ羽根車についていろいろ検討していた。過去の経過が思い浮かぶためである。正直に言えば サラリーマン時代の勤務先がエネルギー関係なので他者を横目で覗いていた。
潮流の中に単純に羽根車(プロペラ)を入れて回転させようとすれば、海水の密度と粘性から回転する効率は非常に悪く極端な話 流速がそれなりにないと廻らない。多くの場合は海水は羽根車を回さず、抵抗のない側に逃げて流れる。何も工夫しなければ流体は抵抗のある方に向かわず、抵抗のない方に流れる。
風力発電の風車が回るのと同様 翼の揚力で考えれば海中でも原理的には同じことである。同様と思いつつ空気中と海水中とは事情が異なる。海中のいい点は台風などの突風がないことくらいとしか浮かばない。
海水中ではカキ・フジツボそして藻その他の海洋生物が付着する。また錆など防食も欠かせない。そんな訳で単純に潮流を利用することは おじさんの体験したグループ学習ではメンテナンスコストが高いので問題外としていた。プロペラの直径を上げれば、水深が必要となり ますますメンテナンスコストが上がる。
その結果 おじさんの見ていた中心は 波力発電・潮汐力発電など他の方式をメインとしていた。そんな 経過を知っているのであまり取り上げなかった。九電と環境省の実証試験がなされているとのことで、結果を待ちたい。
波力発電
波力発電とは 海上を吹く風などで海面が上下する、これを波という。 波が引き起こす海水の上下運動で生まれるエネルギーを動力にして羽根車を廻し発電機を動かす。当時 羽根車に対称翼を用いると空気の流れが変化しても一方向に回転することが分かったので(ウェルズタービン)これを利用しようとしていた。
従前は空気の流れ方向を切替えることに置いたが、操作が複雑化してしまった。利用を一方向の流れとだけすれば効率が落ちるので何とかと言いながら友人は研究していた。
また当時 製鋼会社などで タービンを用いずに波エネルギーをフロートである振り子の運動エネルギーに変換し、油圧モーターを回転させて発電することも考えられていた。
いつの間にか防食と回転機器の管理などの難しさから主流とはならなかった。自然と言うか海洋の気象条件は厳しい。利用できたのは航路用のブイなどの電源と小規模なもののみである。
潮汐力発電
この話を初めて聞いた時期は、学生の頃であった。土木関係から持ち掛けられたのが最初と記憶している。おじさんの所属していたゼミの助教授が低揚程の水車があれえば対応できる。また開発途上国で小河川に据え付け貢献出来ると言いだした。
助教授が ある企業に話を持ち掛け、丸パイプを分割したものの前後を加工して羽根車部品を作らせた。友人のグループがそれを組み立てて、水車を作り導水と排水部形状を変えて実験を始めた。そこそこの目途が付き、友人が大学院を卒業するころには 水車内の流れをクロスフローさせると良いと話していた。
その内 有明海の自然環境と干拓地の問題で、河川河口部あるいは干潟などの利用は 環境上疑問が投げられ、潮汐ダムなど夢のまた夢となった。現在の環境行政下では 潮汐力発電を設置する場所を見つけることは難しいと思う。