いくらかマニアックな記事となり出したことを感じる。詳細を逐次解説すれば長くなるので控えたいと思い、マニアなら基本的にパーツ名などお分かりになるとした。銃に関心のない方は読み飛ばしていただくかお調べ頂きたい。質問があり連絡いただければ回答的に記載していくつもりである。

自動小銃の連続発射と銃床形状には相関的関係がある。銃の銃床は大別して2タイプに分かれる。

1)直銃床

銃身に対して銃床の上部が一致するようなものを直銃床(ちょくじゅうしょう)という。照準する際 照星・照門 との間隔が狭いため顔の密着が難しい。ゴルゴ13はなんでこんな銃を選んだのか?と思う。

直銃床

2)曲銃床

銃身に対して銃床の上部が下がったするものを曲銃床(きょくじゅうしょう)という。照準する際 照星・照門との間隔が確保でき顔の密着がしやすく 照準がつけ易い。今も猟銃などではこの形が多い。

曲銃床

小銃の歴史上は連続発射出来るアサルトライフルが登場する前まで曲銃床はほとんどの軍用銃に使用されて来た。連続発射すれば先端から連続的に高速弾を発射するので反動が銃全体を通して銃床に伝わる。結果 連続発射すれば銃は自然に銃口が上部に上がっていく。直銃床であれば大きな回転モーメントは掛からないが、曲銃床では銃身と銃床の距離があり、回転モーメントはより大きくなる。

外れる無駄弾を出さないのが旧軍以来の伝統である。従って64式小銃は直銃床と他にも色々対策されている。また現在はプラスチック素材の発展と弾の口径減少に伴う反動減少などで、強度が確保出来るので中間形状的な銃床が作られている。なお おじさんは実習中にAR-7を触ったことがある。本銃は米軍戦闘機パイロットのサバイバル用に通常拳銃弾を使用するものである。これがおじさんにとって 銃床をプラスチック素材で作った銃の初見である。AR-7は銃床が空洞になっており、機関部と銃身を内部に格納していた。銃弾の発射反動が小さければプラスチック素材が使える等、木製銃床を作りながら 銃器メーカーは知っていたということをお伝えして置く。

設計思想

64式小銃は発射スピードを400~500発/分に落としている。これは銃の銃口挙動の緩和に繋げる目的である。弾が銃口から発射されるたびに反動が発生し、銃口を上に持ち上げる力が掛かるので命中性確保のため 発射スピードを落としたのである。

当時のNATO弾7.62mmライフルの開発時期が似かよった FN FAL、米軍M14と銃床形状と発射スピードを見れば、設計思想の違いが分かる。FALは曲銃床で発射スピード落としが中途半端 米軍のM14は従来通りのイケイケである。連射時の命中性・集弾性を お調べになれば分かると思う。

設計思想として先端の脚がある。伏せた姿勢で銃を構えて連射する際 脚を開き構える。銃床上部を左手で押さえながら発射すれば銃の挙動は安定する。64式の先端に付く2脚は64式小銃が防御を主とする考えであると思う。専守防衛・陣地戦構想が生きている。同時に「皆が持ってる軽機関銃」という用兵思想の実現でもある。旧陸軍の火力不足への反省が見て取れる。なお この思想は89式小銃迄生きている。

銃床の材質

64式小銃の銃床 只ものではない材質である。素材はただのラワン材と記憶しているが、木工加工後エポキシ樹脂を含侵させ強度確保している。聞いた話では富士演習場にてトラックで轢いて壊れないことを確認したそうである。おじさんこんなところのオーバースペックがコストアップ要因かなとも思う。だが64式小銃ほどの反動があれば銃床が壊れれば使えなくなる。狙って腰だめで打つことには?がつく。自衛隊員と言えども 皆がランボータイプの肉体ではない。